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【夕焼けエッセー】新しい足

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【夕焼けエッセー】
新しい足

 12年間連れ添った車とお別れすることになった。今年に入って、あちこち故障しだし、とうとうクーラーが効かなくなり、この暑い夏を乗り越えることができなくて、14万キロメートルほど走ってくれた愛車を手放すことになった。

 生まれつき重度の障害を持ちほとんど歩けず、車いすで生活している私が、高校を卒業し大学へ進学するにあたって、手動式の車の免許を取った。オートマチックの車を買って手動式の装置を取り付け、自動車学校に持ち込んで専属の先生の指導を受けて合格した。左手には、押したらブレーキ、引いたらアクセルが動く装置だ。ハンドルにはレバーが付いていて、右手で回す。

 それからは、寮から大学まで特別に自家用車での通学を許可してもらい、長い休みには神戸から運転して帰省した。卒業後は、通勤や買い物に使ったりと、入院中以外は乗らない日がないくらい毎日運転した。無事故無違反で表彰してもらったこともあるほど安全運転を心がけている。

 18歳から車に乗っているので何度か買い替えたが、12年も長く私の足となってくれた車は他になく、いろいろな思い出が詰まっている。友達を乗せてあげたとき「障害者に世話になるなんて」と言われたが、「障害があっても人の役に立ててうれしいよ」と。

 ほとんど歩けない私があちこち行けるのも車のおかげ。これからは新しい足と仲良くやっていきたい。新しい足は、どんな未知の世界に私を運んでくれるだろうか?

柳岡 克子 (52) 和歌山県御坊市

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