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【坂口至徳の科学の現場を歩く】再発5%…胃がん手術中に腹膜転移を予測する診断法、大阪市大が開発 即時に予防治療も可能

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【坂口至徳の科学の現場を歩く】
再発5%…胃がん手術中に腹膜転移を予測する診断法、大阪市大が開発 即時に予防治療も可能

胃粘膜上皮で発生したがん細胞が最外層の胃漿膜面に向かって浸潤。漿膜に露出したがん細胞は腹腔内にまき散って腹膜に転移し、定着・増殖する(大阪市立大学提供) 胃粘膜上皮で発生したがん細胞が最外層の胃漿膜面に向かって浸潤。漿膜に露出したがん細胞は腹腔内にまき散って腹膜に転移し、定着・増殖する(大阪市立大学提供)

 大阪市立大学医学研究科癌分子病態学制御学の八代正和准教授、診断病理学の大澤政彦教授らの研究グループは、胃がん患者の手術の最中に、がん細胞が腹膜に転移して再発する可能性が高いかどうかを診断する方法を開発した。手術中の診断の結果が陽性であれば、ただちに抗がん剤を投与したり、腹腔内を洗浄したりして、再発を予防するための手立てが取れる。大阪市立大医学部附属病院では、4月からこの診断法で陽性の患者について、手術中の予防治療を行う臨床試験を始めている。この研究成果は国際学術誌「サージカル・オンコロジー」電子版に掲載された。

 胃がんの年間死亡者数は約5万人で、その半数が、手術後にがん細胞が腹膜に転移して再発したケース。胃がんの根治手術を受けても、5%の患者が腹膜転移により再発しており、完治は困難で有効な予防法や治療法は見つかっていない。

 腹膜転移は、胃の内側の粘膜にできたがん細胞が胃壁の外側の組織に向かって増殖(浸潤)し、胃漿膜という最外層に到達して露出したあと、腹腔内にまき散って腹膜に転移する(図参照)。

 このため、八代准教授らは、腹腔内に出る直前の段階である漿膜に露出している状態があるかどうかを調べればいいと発想。がんになった胃の漿膜面にスライドグラスを押し付けて組織を採取し、がん細胞の有無を調べる方法(捺印=なついん=細胞診)と漿膜面をこすり取ってがんマーカーの遺伝子が発現しているかどうかを調べる方法(擦過細胞遺伝子増幅法)の2つを同時に行う方法を開発。その結果、これまでの腹腔内に散らばっているがん細胞を調べる診断法では予測精度が25%だったのに対し、今回の2つの方法を合わせると58.8%に上がり、さらに、これら3つの方法を重ねると70.6%にまで上昇した。

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