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【夕焼けエッセー・6月月間賞】広島市の増原昭三さん「点訳ボランティア講座見習生」

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【夕焼けエッセー・6月月間賞】
広島市の増原昭三さん「点訳ボランティア講座見習生」

夕焼けエッセー6月月間賞の増原昭三さん 夕焼けエッセー6月月間賞の増原昭三さん

 「夕焼けエッセー」の6月月間賞は、広島市安佐北区の増原昭三さん(65)の「点訳ボランティア講座見習生」(12日掲載)に決まった。点訳者を目指し5月から講座を受け始めた筆者が、視覚障害者の日常生活における情報取得の難しさを改めて実感し、真(しん)摯(し)に向き合うエッセー。選考委員は作家の眉村卓さん、玉岡かおるさん、丸橋茂幸・産経新聞文化部長。

 増原さんの話「3月の退職後、物忘れ防止にと妻に勧められ、何か習い事をと考え、市の広報誌で講座を見つけ申し込みました。身近に視覚障害者はおらず、仕事で関わったことも特になかったのですが、あえてこれまで接点もなく未知の世界のことを学びたいと思いました。最近では、広島駅で、白杖をついている視覚障害者の方に声をかけ、目的地へ向かう電車のホームにお連れしたりしています。少ない情報量で不自由な生活を送られる方について少しでも知ってもらいたいと、今回初めてエッセーを書きました」

□「点訳ボランティア講座見習生」

今年の5月から、点訳者になるための講座を受講しているが、今までの生活で、点字とかかわったことのない私にとって、習うことすべてが知らないことばかりであった。

 ある日、講師の人から缶ビールの上部を指さし「ここに点字が書いてありますが、何と書いてあるかわかりますか?」と質問された。

 私は、缶ビールだからビールと書かれ、その下には商品名やメーカー名も書いてあるものと勝手に思い込んでいたが、なんと

 オサケ

 と3文字しか書いていなかった。

 現代ではものがあふれており、私であれば缶に触っただけでは発泡酒か缶ビールかの違いは、とてもじゃないけどわからないと思った。

 人間は、生きていくためにさまざまな情報を取得しているが、そのうちの約80%が視覚によるものだといわれている。

 その視覚に障害のある視覚障害者にとっては、情報収集が歩行・移動と並んで大きな不自由となっている。

 最近、視覚障害者が駅のプラットホームから転落するという痛ましい事故が、新聞やテレビで報道されている。

 私は、点訳講座を受講し始めてから、視覚障害者を見かけたら今まで以上に積極的に声かけを実施し、何か手助けできることがあるかを聞くようになった。

増原 昭三(65) 広島市安佐北区

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