産経WEST

【石野伸子の読み直し浪花女】岡部伊都子「いとはん」の反骨(8)司馬遼太郎が愛し、中国が学ぶ戦前日本の女学校・女性の精神

産経WEST 産経WEST

記事詳細

更新

【石野伸子の読み直し浪花女】
岡部伊都子「いとはん」の反骨(8)司馬遼太郎が愛し、中国が学ぶ戦前日本の女学校・女性の精神

国内外を取材に歩いた。昭和41年6月、アムステルダムで。岡部伊都子43歳(藤原書店提供) 国内外を取材に歩いた。昭和41年6月、アムステルダムで。岡部伊都子43歳(藤原書店提供)

 岡部伊都子が亡くなってすでに9年。その名前を聞くことも少なくなったが、最近思いがけないところでその名を聞いた。

 ことし2月、NHK大阪ホールで開かれた「第21回菜の花忌」。

 このイベントは作家、司馬遼太郎の精神を後世に引き継ごうと司馬遼太郎記念財団(東大阪市)が毎年、東京と大阪で開いているものだが、当日は司馬遼太郎賞の発表やシンポジウム(ことしのテーマは関ケ原)のほか、フェローシップの発表も行われる。これは16歳から25歳の若者を対象に、司馬作品にインスピレーションを得た知的世界への探索企画に対し、奨学金30万円を授与して企画実行を応援するもので、ことしの当選者とともに前年のフェローシップも招かれ、実際に探究した成果報告がされる。

 ここで昨年のフェローシップ、沈韻之さん(23)の口から「岡部伊都子」の名前が出た。

 沈さんは中国出身の留学生。現在、奈良女子大学大学院人間文化研究科に在籍しており、「華族女学校と振華女中から見る中日近代女子教育」というテーマの研究発表をした。司馬さんの『坂の上の雲』を読み、明治時代の日本女性の教育に興味を持ったのがきっかけだったという。

 その中で明治時代の日本の女学校は「良妻賢母」が教育目標であり、一方の近代中国は女性の社会進出をめざして女子教育をしたが、実際はどうだったか。日本の華族女学校と中国の振華女中という2つの女学校を比較し、検討を加えようとした。

 カリキュラムの内容、校則・校訓、卒業生の進路、社会的影響、近代化の過程。清政府の官立女学校は日本の華族女学校の校則を翻訳・参考にしているなど興味深い発見もあったが、探究はなかなか難物だった。そのとき、司馬遼太郎と岡部伊都子が対談した記事があることを知り、その内容に大いに触発されたという。

 それは、関西大学教授の山野博史さんが産経新聞紙上(平成28=2016=年5月8日付)で紹介したもので、司馬が雑誌アンケートで「好きな女性」を問われたとき、「岡部伊都子」の名前を挙げるほど2人は年来の知己で心安かった。その2人が「小説のなかの女性」という対談を行ったとき、司馬が岡部に対して述べた女性観に大いに興味を抱いたという。

続きを読む

関連トピックス

関連ニュース

「産経WEST」のランキング