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【水中考古学へのいざない(15)】航海1300メートル、あっけなく 世界一短命の戦艦は…

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【水中考古学へのいざない(15)】
航海1300メートル、あっけなく 世界一短命の戦艦は…

 引き上げられたバーサ号は、考古学的な発掘と保存が行われた。バルト海の水は冷たく、フナクイ虫の活動も少ないため、バーサ号は幸運にも完全な形をとどめ、艦内には多数の剣をはじめ、武器類や日常生活用具、台所用品、硬貨4000点以上が残されていた。

 「軍艦の構造や船上生活を知る上で重要なものであるとともに、数多くの彫刻はルネサンス後期芸術のユニークな収蔵品でもある」と、考古学者たちを大いに喜ばせることになった。

 船体と一緒に引き上げられた装飾の木製品の断片は、約1万3500点にものぼった。修復された後、バラバラになっていた断片のくぎ穴に針金を通し、それと合致する船体のくぎ穴を探すことで、元の部位に戻していった。作業は困難を極め、「バーサ号は世界最大のジグソーパズル」といわれた。

 今では、船体の約95パーセントを引き上げたパーツによって復元。新しい材料を使ったところは、見学者にもわかるよう、もとより明るい色で仕上げられている。

†船体の彫像があだ

 『知られざる難破船の世界』(あすなろ書房)によると、「華麗なバーサ号の装飾は目を見張らせるものだった」という。オーク、松、ライムなどの木材に彫られた人像500体やその他の装飾200点。主に神話の動物や歴史上の人物、聖書の物語などをテーマにしたものだったが、人魚も彫られていた。迷信深い海の男たちは、人魚は航海中の船乗りを守ってくれると信じていたからだ。

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