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【銀幕裏の声】神様、あともう一人だけ命を救わせて-日本兵も救助した米衛生兵、弾が飛び交う戦場に留まり…「ハクソー・リッジ」(下)

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【銀幕裏の声】
神様、あともう一人だけ命を救わせて-日本兵も救助した米衛生兵、弾が飛び交う戦場に留まり…「ハクソー・リッジ」(下)

映画「ハクソー・リッジ」のワンシーン。アンドリュー・ガーフィールド演じるドス(右)に対し、サム・ワーシントン演じる上官、グローヴァー大尉(左)は辛く当たるが…(C) Cosmos Filmed Entertainment Pty Ltd 2016 映画「ハクソー・リッジ」のワンシーン。アンドリュー・ガーフィールド演じるドス(右)に対し、サム・ワーシントン演じる上官、グローヴァー大尉(左)は辛く当たるが…(C) Cosmos Filmed Entertainment Pty Ltd 2016

 サム・ワーシントンが演じた実在するドスの上官、グローヴァー大尉は後にドスをこう称(たた)えている。

 訓練中から度々、ドスと対立し、兵士失格だとしてドスの異動を強く進言していたのがグローヴァー大尉だった。

 「ドスが沖縄の戦場で僕の命を救ってくれたのです。皮肉ですね」。もし、彼の進言通りドスを異動させ、一緒に沖縄で戦っていなければ、彼は戦死していたかもしれない。そのことを彼は認め、ドスに感謝の言葉を送っている。

 1945年10月、ドスは当時のトルーマン米大統領から名誉勲章を授与される。良心的兵役拒否者として初の表彰だった。

 「軍隊内の人種差別撤廃を大統領令で断行したのがトルーマンです。良心的兵役拒否者も長い間、軍隊内で不遇な扱いを受けており、ドスの表彰も米軍内部の風通しを良くする一環といえるでしょう。信仰や人種を問わず平等に扱うという考え方はアメリカをアメリカたらしめる理想ですから」と西川さんは言う。

 味方の兵士が姿を消し、いつ狙撃されるか分からない戦場に踏みとどったドスが、一人、また一人と次々と負傷兵をロープにしばり、崖の下へと降ろしていく。

 75人を救助する間、ずっと彼は心の中でこうつぶやいていた。

 「神様、あともう一人だけ。私に命を救わせてください…」

 人間の真の勇気とは何か-を、見る者の胸に突き付けてくる、かつてない戦争映画の傑作が生まれた。

▼再び(上)炎放射器で焼き尽くす米兵、実際は日本兵を恐れてた…から読む

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