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【坂口至徳の科学の現場を歩く】世界初…音速10倍で衝突、スペースデブリ(宇宙ごみ)対策に「光」 阪大など国際研究班、破壊現象を原子レベルで可視化

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【坂口至徳の科学の現場を歩く】
世界初…音速10倍で衝突、スペースデブリ(宇宙ごみ)対策に「光」 阪大など国際研究班、破壊現象を原子レベルで可視化

金属箔にパワーレーザーを集光照射し、材料内部に衝撃波を起こす。材料の裏面側からX線自由電子レーザーを照射し、裏面に現れる超高速破壊を観察。照射の時間間隔を少しずつ変化させて実験を繰り返すことにより、X線回折イメージのスナップショットを繋げた連続画像を取得できる(尾崎典雅・大阪大准教授提供) 金属箔にパワーレーザーを集光照射し、材料内部に衝撃波を起こす。材料の裏面側からX線自由電子レーザーを照射し、裏面に現れる超高速破壊を観察。照射の時間間隔を少しずつ変化させて実験を繰り返すことにより、X線回折イメージのスナップショットを繋げた連続画像を取得できる(尾崎典雅・大阪大准教授提供)

 超高速で物体が材料に衝突した場合、衝撃波が材料の内部を伝わって、衝突した面(表面)よりも、むしろ反対側の面(裏面)に大きな損傷が見られるという特徴的な破壊の現象が生じる。

 研究グループは、高出力のパワーレーザーを金属の箔(はく)に集光して照射し、材料内部に衝撃波を起こす「パワーレーザーショック超高圧法」という手法と、物質を原子レベルの大きさで、その瞬時の動きを観察できる「X線自由電子レーザー」を使った。まず、「超高圧法」で材料内部に衝撃波を起こし、その裏面に現れる破壊現象を見るため、フェムト秒(千兆分の1秒)の「X線自由電子レーザー」を照射して観察。ピコ秒(1兆分の1秒)の間隔で時間をずらして繰り返し照射し「X線回折イメージング」という方法で作った画像を順番につなげて連続画像を得ることにより、材料が原子レベルで変化する様子がわかった(図参照)。

 尾崎准教授は「超高速衝突時の動的な破壊の開始や進展のようすをミクロな視点で観察できることを実証しました。宇宙ステーションや航空機などの安全性向上や、耐久性が高い新材料の開発の促進につなげていきたい」と話している。

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坂口至徳 坂口至徳 昭和50年、産経新聞社入社。社会部記者、文化部次長などを経て編集局編集委員兼論説委員、客員論説委員。この間、科学記者として医学医療を中心に科学一般を取材。

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