産経WEST

【夕焼けエッセー・4月月間賞選考会詳報】選考委員の玉岡かおるさん「母から子へ通過儀礼」

産経WEST 産経WEST

記事詳細

更新

【夕焼けエッセー・4月月間賞選考会詳報】
選考委員の玉岡かおるさん「母から子へ通過儀礼」

夕焼けエッセー・4月月間賞優秀作品一覧 夕焼けエッセー・4月月間賞優秀作品一覧

 玉岡 納得感に欠けてしまったのが残念です。それと、「~」など記号の多用が気になりました。眉村先生は「油谷くん」がイチオシですね。

 丸橋 「作者自身ではない同級生がやったことの記憶を、現時点で当人にぶつけての反応を描いており、出来事自体のさわやかさを浮き上がらせています」とおっしゃっています。「全てのことに両面あり」は眉村さんと僕が◯、玉岡さんも次点です。

 玉岡 31歳のときにひき逃げ事故に遭って大変な思いをされたつらい体験を書いた作品ですね。

 丸橋 人間が何事もなく日常を生きていることのありがたみを改めて考えさせられました。

 玉岡 大変な体験をこれだけさらりと書かれる精神力の強さはすごいと思います。

 丸橋 眉村さんも「ひどい状況の中で、自分に残された光明、可能性を決して捨てなかった作者の心情と努力には、頭が下がる思いです」とコメントされています。

 玉岡 本当にそうですね。ただ、事故はその後どうなったのか、犯人は捕まったのか気になります。

 丸橋 もし捕まったのなら「犯人は捕まったけど」と1行いれるだけで違ってきますね。

 玉岡 そうです。「平坦な道ではなかったが」とあるけど、その平坦でなかった部分をもう少し書いてほしかった。といって、書きすぎると重くなるから、均衡をとるのは難しいですね。そういう意味では勉強になる作品です。

 丸橋 小学6年の息子さんの卒業について書かれた「卒業式の涙」も推しておられますね。

 玉岡 この作品は夕焼けエッセーのひとつのジャンルだと思います。多くの子育て中のお母さんの励ましになったのでは。最後のフレーズの「私にできることは、環境をちょっと整えたり、話を聞いたり」というところ。共感しました。子育てのお手本のようなエッセーです。

 丸橋 手伝うのではなくじっと我慢して見守るのはしんどいことですよ。

 玉岡 こういう作品はもっと読みたいですね。

 丸橋 眉村さんと僕は「最後の5年」も選んでいます。僕は妻の「仕事やったらいつ辞めてもいいよ」という一言に心を動かされました。

 玉岡 いい奥さんですね。ただ、夫の異変に気づくまでの状況がわかればと思いました。きっと葛藤があったんじゃないかと思うのですが。

 丸橋 ここまでの議論を振り返ると、月間賞は「ひげ」でしょうか。

 玉岡 そうですね。眉村先生も推しておられますし。ほんわりと共感できる作品でした。

「産経WEST」のランキング