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【夕焼けエッセー・4月月間賞】大阪市住吉区の中島和美さん「渾身の作品で受賞うれしい」

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【夕焼けエッセー・4月月間賞】
大阪市住吉区の中島和美さん「渾身の作品で受賞うれしい」

   

 実際、私も生えていた。私の母は私にそのことを教えてくれなかったから、小学3年生の時、男の子に「お前、ひげ生えてるなあ」とじっくり見られ、びっくりするほど恥ずかしかったのを覚えている。

 その夜私は、母にひげを剃(そ)ってもらった。小さいころの記憶なんてあまりない私が、ここだけは鮮明に覚えている。だからこそ、娘には心づもりしておいてほしかったのだ。

 そして先日、娘が学校から帰ってきて、男子に「ひげ剃りや」と言われたと、照れながら私に言ってきたのだ。とうとうこの日がきたか。娘はまだ2年生。私より1年早いのは時代の流れか、しかしあのときと同じ、今が剃り時。

 お風呂で、泡をつけて丁寧に剃ってやると、娘の鼻の下が肌色に!やっぱり今まで黒かったよな~と言うと、娘も、あ、ふわふわがなくなってる!と感動している様子。

 誰かに気づかれる前の小さい頃に剃ってしまうより、男子に言われて、ちょっと恥ずかしい思いをして、満を持してかわいいひげとさよならできたことが、母はなんだかうれしい。そしてその娘の隣では、眉毛がつながりそうな次女がほほえんでいる。

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