産経WEST

【南海トラフ津波34メートルの町騒動記(7)】「“日常”を缶詰に」避難者の涙に感じたこと

産経WEST 産経WEST

記事詳細

更新

【南海トラフ津波34メートルの町騒動記(7)】
「“日常”を缶詰に」避難者の涙に感じたこと

避難者の方々から避難時の食事の経験を伺った=宮城県気仙沼市 避難者の方々から避難時の食事の経験を伺った=宮城県気仙沼市

 災害時にどんな食品が必要なのか?防災缶詰プロジェクトのメンバーはその答えを求め、平成25年5月、東日本大震災の被災地、宮城県気仙沼市を訪れた。同市は黒潮町とカツオ漁で縁が深く、町は震災後ただちに救援に駆け付けた。

 聞き取りでは、食品関係者、仮設住宅の皆さん、孤立集落で飢えをしのいだ方、防災担当者、新聞記者などから多くの言葉をいただいた。言葉の端々に辛い経験を次に生かしてほしいという願いを感じた。

 「口中が口内炎になり、痛さで涙を流しながら飲み込んだ」「同じものばかりは飽きる」「甘いものが食べたかった」…。最も印象に残った言葉は「刺し身を口に入れたとき涙が出るほどのうれしさをかみしめた」。気仙沼は日本を代表する漁港。食べ慣れた食材が日常を取り戻す安心感につながると理解した。

 かくして、黒潮町の防災缶詰づくりのコンセプトは「毎日食べたい日(ひ)常食」に。また、誰もが食べられる食品であるべきだとの考えから、「アレルギー対応」という機能を持たせることにした。

 “日常”を缶詰にすることこそ、安心につながる-。気仙沼の方々の命がけの経験が、プロジェクトメンバーの確信に変わった瞬間だった。

                  ◇

 究極の避難セット(缶詰、アルファ化米、水、塩、スプーン、ゴミ袋)が登場。梱包箱は簡易トイレに。問い合わせは黒潮町缶詰製作所(電話0880・43・3776)                      (町職員 友永公生)

「産経WEST」のランキング