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【坂口至徳の科学の現場を歩く】アルツハイマー病予防、次世代ナノテク材料…世界初アミロイド線維を自在に作製 奈良先端大・台湾交通大など

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【坂口至徳の科学の現場を歩く】
アルツハイマー病予防、次世代ナノテク材料…世界初アミロイド線維を自在に作製 奈良先端大・台湾交通大など

人工的に作製された「シトクロムc」のアミロイド線維。超音波処理して凝集体をほどいたあと透過型電子顕微鏡で観察した(奈良先端大提供) 人工的に作製された「シトクロムc」のアミロイド線維。超音波処理して凝集体をほどいたあと透過型電子顕微鏡で観察した(奈良先端大提供)

 アルツハイマー病やパーキンソン病など20種類以上の病気との関連が指摘されている「アミロイド線維」。水に溶けない丈夫な線維状の物質で、特定のタンパク質が変性して規則正しく連なった集合体のタンパク質だ。例えば、アルツハイマー病なら、アミロイドβ(Aβ)というタンパク質が集まってできたアミロイド線維が脳など体内に異常に沈着すると発症の引き金になるとされている。しかし、このようにさまざまな病気の原因とみられるアミロイド線維がどのような時に、どのような場所でつくられるのかを予測し調節することが不可能とされていたため、詳細な仕組み解明の障壁になっていた。

 こうしたことから、奈良先端科学技術大学院大学物質創成科学研究科の杉山輝樹客員教授、廣田俊教授、台湾国立交通大学理学院応用化学系の増原宏講座教授らの共同研究グループは、アミロイド線維を望むときに、狙った場所に人工的に作製する技術を世界で初めて開発した。光が物質に当たると生じる圧力(光圧)を使ってタンパク質を局所に集中させて作り出す方法で、アミロイド線維生成の謎を解き、予防・治療法開発の有力な手段になりそうだ。

 今回、研究グループがアミロイド線維生成の実験に使ったのは、心臓に多く含まれ、呼吸に関係する「シトクロムc」と言われる球状のタンパク質。この物質を含む溶液にレーザー光を急激に絞り込んで照射すると、集光した領域に物質が集められるという光圧の原理を利用した。

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