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【田淵幸一物語・第3部(18)】「黒い霧」事件の発覚 50年前の野球賭博の真相

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【田淵幸一物語・第3部(18)】
「黒い霧」事件の発覚 50年前の野球賭博の真相

昭和48年10月22日、0-9の敗戦に怒ったファンが巨人ベンチを襲撃した 昭和48年10月22日、0-9の敗戦に怒ったファンが巨人ベンチを襲撃した

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 平成27年9月、巨人の若手3選手が野球賭博に関与していたことが発覚した。巨人は11月9日、3選手との契約を解除。翌10日には日本野球機構(NPB)の調査委員会が提出した報告書をもとに熊崎勝彦コミッショナーが「3選手に八百長(敗退行為)はなかった」とし、永久追放ではなく「無期限失格」の処分を言い渡した。昭和44年から45年にかけて、プロ野球界を震撼(しんかん)させたあの「黒い霧事件」以来の不祥事である。

 「なぜ、自分の人生を懸けてやり続けてきた野球を賭けの対象にするのか。僕には理解できない」

 田淵は悲しそうな顔で語る。それはまた50年前の気持ちと同じだった。

 「黒い霧事件」は田淵の1年目、44年に起きた。10月8日に西鉄ライオンズが自軍の永易将之投手(当時27歳)を「野球賭博に関連し公式戦で八百長をしていた疑いがあるため任意引退にする」と発表したのがその発端。

 午前11時過ぎから福岡市天神の球団事務所で会見した国広直俊球団社長によると「その年の永易は先発すると妙に打たれてKOされる。勝つという意欲が見られず、負けた後、派手な遊びをしていた」という。

 「野球でどうやって賭けが成立するのか、当時は方法すら知らなかった」と田淵。いや、知らない方が普通だ。

 一般的に「野球賭博」は好みのカードの勝負を当てる単純な賭けだ。強いチームと弱いチームが対戦する場合には、強いチームからハンディキャップの得点を出す。つまりAとBの対戦でAが強ければ、Aから2点あるいは1・7点というハンデが出る。賭け屋はこれを「バック目」と呼んでいた。

 ではAから「バック目」1・7点が出た試合に、客が「Aの勝ち」に10万円を賭けたと仮定しよう。

 Aが3点以上リードして勝った場合、問題なく客に賭け金の倍額から手数料(勝ち金の1割)を引いた19万円が支払われる。2点差の場合は1・7を引いた0・3、つまり3万円の勝ち。手数料3千円を引き12万7千円の払戻金。1点差で勝った場合は1-1・7=マイナス0・7となり、客が7万円の負け。賭け金10万円のうちから7万円が引かれ、3万円が戻ってくる-というシステムだ。当時、大阪府警捜査4課の調べでは40年1年間でプロ野球の公式戦全試合と日本シリーズを対象とし約1億5千万円にのぼる賭け金が動いていたという。

 騒動にならないうちに…という西鉄の思惑は甘かった。任意引退した永易の「衝撃の告白」で、球界を揺るがす「大事件」へと発展するのである。(敬称略)(田所龍一)

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