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【都市を生きる建築(95)】歴史的背景と現代性を両立…市民に開かれた「大阪弁護士会館」

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【都市を生きる建築(95)】
歴史的背景と現代性を両立…市民に開かれた「大阪弁護士会館」

透明感のある格子が印象的な外観。手前左手に大阪市立東洋陶磁美術館、その奥に大阪地方裁判所庁舎が見える(西岡潔撮影) 透明感のある格子が印象的な外観。手前左手に大阪市立東洋陶磁美術館、その奥に大阪地方裁判所庁舎が見える(西岡潔撮影)

 内部や外壁にも同じ特注の煉瓦が使われている。色ムラ以上の味わいに気づいて接近すれば、複数のタイプがあることが見えてくる。平坦(へいたん)なもの、弧を描いて中央部が1センチ出ているもの、同じく2センチ、3センチの4種類。それらを出たり入ったりさせて組み合わせている。1890(明治23)年に完成した赤煉瓦の初代庁舎から数えて4代目となる大阪地方裁判所庁舎の外壁タイルや、堂島川を挟んだ大阪市立東洋陶磁美術館に呼応しながら、新しい表情を持っている。

 2002(平成14)年、大阪弁護士会が16社の提案の中から選んだのが、日建設計の江副敏史氏を中心にまとめたこの設計案だった。開かれた現代的な透明感をガラスで、どっしりと構えて歴史に接続する素材感を焼き物で。共に飾らない「素」の素材で勝負することによって、皆から見られるに値するものを作り出した。問題を解く答えの背後には、実直で精緻なプロの仕事。大阪弁護士会館は、都市を生きる弁護士のあり方を象徴している。(倉方俊輔/建築史家・大阪市立大学准教授)

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