産経WEST

【田淵幸一物語・第3部(8)】暑い夏 もう一人の「幸ちゃん」

産経WEST 産経WEST

記事詳細

更新

【田淵幸一物語・第3部(8)】
暑い夏 もう一人の「幸ちゃん」

昭和44年8月、甲子園の話題は三沢高・太田幸司の熱投だった 昭和44年8月、甲子園の話題は三沢高・太田幸司の熱投だった

前のニュース

 夢のオールスターが終わり、後半戦が始まると田淵の話題はプツリと途絶えた。代わって球界の話題を独占したのはもう一人の「幸ちゃん」こと青森・三沢高の太田幸司だった。

 8月18日、第51回全国高校野球選手権大会の決勝戦で愛媛・松山商高と4時間16分、延長十八回という死闘を繰り広げた。松山商のエース井上明との息詰まる投手戦。太田が12安打されながらも13奪三振で無失点に抑えれば、井上も10安打、10三振を奪う力投。0-0のまま規定により引き分け。史上初の決勝戦再試合となった。

 翌19日、甲子園球場は5万人の大観衆で埋まった。前日の息詰まる投手戦とはうってかわり、スタートから激しい打ち合い。一回、松山商が樋野の2号2ランで先制すれば、その裏、三沢も1点を返す。六回に松山商が福永、樋野のヒットと三沢の守備の乱れをつき2点を加える。疲れが見える両エース。松山商は井上がピンチを招くと何度も左腕の中村にスイッチして火を消し止めた。だが、三沢には太田一人しかいない。結局、4-2で松山商が16年ぶりの優勝を果たした。太田は「孤独のエース」と呼ばれ、井上はその敵役となった。

 余談になるがこの試合を筆者はセンターバックスクリーンから見ていた。産経新聞写真部でスタンドのカメラマンを回り、フィルムを集めて本社へ持ち帰る「連絡員」のアルバイトをしていた。当時はバックスクリーン下に各社の暗室があり、そこでフィルムを現像し写真電送までしていた。カメラのファインダー越しに見る太田の熱投。苦しそうな表情に思わず「頑張れ」と応援した。

続きを読む

田淵幸一物語のニュース

田淵幸一物語の写真

  • 【田淵幸一物語・第4部(18)】それでも、ミスターTですか!…打撃コーチに甘んじる姿につい声が
  • 【田淵幸一物語・第4部(17)】阪神暗黒時代の7年、「突然」の星野監督誕生
  • 【田淵幸一物語・第4部(16)】「解任」か「辞任」か 4年目の舞台は用意されず
  • 【田淵幸一物語・第4部(15)】情けなや「機密漏洩」事件 「自分の軽率さを深く反省する」
  • 【田淵幸一物語・第4部(14)】古巣の阪神に断られたトレード 理由は…
  • 【田淵幸一物語・第4部(13)】「負けたときはもっと厳しく書いて」 ダイエー監督時代の注文
  • 【田淵幸一物語・第4部(12)】いきなりの「不倫」騒動勃発
  • 【田淵幸一物語・第4部(11)】ダイエーの「救世主」に指名された
  • 【田淵幸一物語・第4部(10)】ユニホームを脱いだ「タブチくん」 「夜のヒットスタジオ」に生出演
  • 【田淵幸一物語・第4部(9)】監督を落とせなかった「いい男」たち
  • 【田淵幸一物語・第4部(8)】田淵を変えた「優勝」への渇望
  • 【田淵幸一物語・第4部(7)】広岡監督の術中にはまった

「産経WEST」のランキング