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【田淵幸一物語・第3部(7)】初めての球宴 大きかったカネやんの背中

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【田淵幸一物語・第3部(7)】
初めての球宴 大きかったカネやんの背中

オールスター第1戦でホームランを放ち巨人・金田から手荒な祝福を受ける田淵 オールスター第1戦でホームランを放ち巨人・金田から手荒な祝福を受ける田淵

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 せっかく乗って来たのに…。フロントによる突然の現場介入に、後藤監督も「どうしても一塁で使いたなったら、オーナーにお伺いたてるわ」としらけ気味。「捕手」に戻った田淵にも再び眠れぬ夜が舞い戻った。

 そんな中でのオールスター出場は田淵にとって「救い」となった。得票数6万6892票。2位の森昌彦(巨人)に約6千票差をつけてのファン投票選出。

 「新人なのに…。ファンのみなさんのおかげ。それだけでボクは幸せです」

 7月19日、超満員の東京球場で第1戦が始まった。ベンチの中央にはONや金田がドッカと陣取り、その横には中日の江藤。初出場の田淵はその長身を縮めて隅っこに座った。

 とたん「こら、田淵、こっちに来んかい!」と大きな声がかかった。声の主は金田正一だった。

 「ワシが投げてるときに感じたんやが、お前は調子が悪いとまるで元気がないやないか。打ったろ-という気迫が足りん。打てんときには守備で、守備がアカンときにはバッティングで頑張らにゃあ。どっちもダメならせめて気迫だけでも見せろ。それがプロの選手や」

 プロ生活20年。18回目の球宴出場。金田自身「これが“花道”」と悟っての出場だった。

 「金田さんのおかげで新人なのにベンチの真ん中に座れた。ボクにとってそれがどれだけのプラスになったか」

 不思議なものである。昭和33年4月5日、巨人のルーキー長嶋が「3番・三塁」で先発出場した開幕戦で国鉄のエースだった金田から4打席連続でフルスイングの三振。このときの経験が長嶋を大きく成長させた。そして翌34年4月11日の開幕戦では、高校生ルーキーで「7番・一塁」で先発出場した王も金田から2三振(1四球)に抑えられ、ショックで26打席ノーヒットが続いた。

 何かを伝えておきたい-金田が現役最後の球宴で選んだのがルーキー田淵だった。

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