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【田淵幸一物語・第3部(5)】「黄金バッテリー」の完成

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【田淵幸一物語・第3部(5)】
「黄金バッテリー」の完成

黄金バッテリーでの初勝利。完封した江夏(右)にウイニングボールを渡す田淵 黄金バッテリーでの初勝利。完封した江夏(右)にウイニングボールを渡す田淵

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 江夏が投げ、田淵が受ける。そして勝利の握手を交わす-。虎ファンの夢見たシーンがついに実現した。

 昭和44年、開幕から5試合目の4月19日、甲子園での中日1回戦。江夏が先発し、田淵がマスクをかぶった。前夜のこと。田淵は江夏を夕食に誘った。が、江夏は「オレ、気が進まんからええわ」と断った。「なんだ、せっかくオレが誘ってるのに」とは思わない。

 「豊のやつ、1つ勝つまで気分がすぐれないんだな。そっとしておいてやろう。その方がいい」と田淵は一人で出かけた。この優しさが田淵の良さだ。

 試合は一回、1死から江夏が3連打を浴び満塁のピンチを招いた。だが、慌てない。「中日は右狙いだ」(江夏)「きょうのお前はカーブがいい。これを生かそう」と呼吸を合わせて無失点で切り抜けると、2人のエンジンは全開。

 江夏が2試合連続の12奪三振で4安打で完封すれば、田淵は四回無死一塁から中日・小野の内角高めのスライダーを左翼上段へポールを巻いて飛び込む3号2ラン。ネット裏では次の対戦相手、巨人の小松スコアラーが「内角高めが弱いはずじゃあ…あのコースも打てるんだ」とメモをとった。

 マウンドに駆け寄った田淵が江夏にウイニングボールをそっと手渡す。ドラフト会議の日、戸沢球団社長と佐川スカウトが咄嗟(とっさ)に頭に描いた“黄金バッテリー”が完成した瞬間だった。

 田淵がマスクをかぶってから、阪神は連勝街道を突き進んだ。翌20日、中日ダブルヘッダーの第1試合で若生が5安打に封じ込み1-0で連続完封勝利すれば、第2試合は2-1のリードを伊藤-鈴木-久野とつなぎ、七回から村山を投入して5連勝。

 そして23日、後楽園での巨人1回戦では江夏がキャンプでひそかにマスターしていた「フォークボール」を初めて披露した。

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