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【田淵幸一物語・第3部(2)】みんなが脱帽 2打席連続ホームラン

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【田淵幸一物語・第3部(2)】
みんなが脱帽 2打席連続ホームラン

大洋3回戦で六回一死から左翼へ公式戦第1号を放つ田淵=昭和44年4月13日、甲子園球場 大洋3回戦で六回一死から左翼へ公式戦第1号を放つ田淵=昭和44年4月13日、甲子園球場

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 開幕戦の翌日、4月13日は大洋とのダブルヘッダー。甲子園球場はまた満員。後藤監督は田淵をスタメンで使う気持ちなど全くなかった。だが、状況が一変する。必勝を期して第1試合に先発した村山が打ち込まれ1-4で連敗してしまったのだ。

 「第1試合はダンプ(辻恭)、次はヒゲ(辻佳)でいくつもりやったが、連敗してチームのムードが沈んでしもた。士気を上げるためにも若手に切り替えた方がええと考えたんや」

 「七番・捕手」。降って湧いたような先発出場だった。だが、この日の田淵はこれまでの「苦悩する田淵」ではなかった。六回、1死走者なしで回ってきた第3打席、大洋・池田の初球、真ん中低めストレートを捉えると、打球はライナーとなって左翼席中段へ突き刺さった。

 その打球の速さと飛距離の長さに、スタンドのファンも大洋ナインも呆(ぼう)然(ぜん)と打球を見送った。さらに驚かせたのが続く第4打席だ。八回2死一塁、阿部が2-3から外角いっぱいのシュートで誘うつもりがボール1個分内へ入った。田淵は見逃さなかった。今度も軽々と左中間スタンドへ叩き込んだ。

 あの田淵が2打席連発。もちろん、オープン戦のように「温情」の投球ではない。大洋・別当監督が「彼のリストの強さには驚いている。まったく見事な2発だ。たしかに“新しいスター”だ」と絶賛すれば、ネット裏の記者席ではサンケイスポーツ評論家の土井垣が「気弱そうな打撃をして迷い続けてきた田淵が2発…予想もしなかった」と脱帽した。

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