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【田淵幸一物語・第3部(1)】「振れなかった」…3球三振デビュー 21才の平松政次の速球に茫然自失

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【田淵幸一物語・第3部(1)】
「振れなかった」…3球三振デビュー 21才の平松政次の速球に茫然自失

速い!大洋・平松の速球に手も足も出ず3球三振に倒れた田淵 速い!大洋・平松の速球に手も足も出ず3球三振に倒れた田淵

 「四回の1死満塁で遠井に右の代打も考えたんやが、右打者を出したら相手も右投手を出してくる。思い切れんかった」

 オープン戦では躊躇(ちゅうちょ)なく右の代打(和田、中尾)を使って成功していたのだが、やはり後藤監督にも初采配の緊張があったのだろう。

「江夏にかわりましてバッター、田淵」

 そんな中で田淵の出番がやって来たのは、九回1死走者なしの場面。「江夏に代わりましてバッター、田淵」と場内アナウンスが流れたとたん、割れんばかりの大歓声が起こった。マウンドには1歳年下、21歳の平松政次。以後、幾度となく名勝負を繰り広げた2人の「初対決」である。

 スタンドの虎ファンはもちろん田淵の一発が見たい。だが、勝負はあっけなくついた。なんと、ストレート3球。田淵は1度もバットを振らずに三振に倒れたのだ。

 「スタンドのやじ? そんなもの何も聞こえなかった。それより、ショックの方が大きかった」

 速い、とにかく速い。茫然(ぼうぜん)自失でベンチに戻るなり「初めて見る速さだ」とポツリつぶやいたという。田淵は振らなかったのではなかった。振れなかったのである。(敬称略)

 ◇

 産経新聞夕刊で好評連載している「新・猛虎伝 田淵幸一物語」は第3部がスタート。舞台は昭和44年、入団1年目のシーズン公式戦。4月12日、甲子園球場で行われた開幕大洋戦でスタメンから外された田淵がいかにして「ミスター・タイガース」の称号を手にしていくのか。涙あり笑いあり。田所龍一編集委員が描く人間ドラマにご期待ください。

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