産経WEST

【新名神橋桁落下事故1年】「人生が一変してしまった」利き腕を失った作業員、安全対策に消えぬ疑念

産経WEST 産経WEST

記事詳細

更新

【新名神橋桁落下事故1年】
「人生が一変してしまった」利き腕を失った作業員、安全対策に消えぬ疑念

新名神高速道路の橋桁落下事故で左腕を失った中林潤也さん=4月18日、大阪市大正区(小松大騎撮影) 新名神高速道路の橋桁落下事故で左腕を失った中林潤也さん=4月18日、大阪市大正区(小松大騎撮影)

 今年に入って補償交渉のために施工業者の社員と初めて会った。事故原因を尋ねたが、「警察が捜査中」と明確な回答は得られなかった。なぜ事故が起きたのか納得できないまま、現場では今月、新たな橋桁の設置工事が始まった。

 「現場には安全より工期を優先するような雰囲気があった。同じように苦しむ人を生まないためにも安全を願うしかない」。中林さんは祈るように話した。

【業務上過失致死傷容疑で40人以上聴取】

 新名神橋桁落下事故をめぐっては、兵庫県警が業務上過失致死傷容疑で捜査しており、これまでに施工業者の「横河ブリッジ」(千葉県船橋市)など工事関係者40人以上から事情を聴いた。

 今後は西日本高速道路が設置した検討委の調査を踏まえ、5月以降に判明する見通しの橋桁などの証拠品の鑑定結果を精査。工事関係者らが事故を事前に予測できたのかを慎重に調べ、立件の可否や対象者を見極める方針だ。

 さらに、神戸西労働基準監督署も、労働安全衛生法違反容疑などを視野に関係者を聴取。工事のスケジュール管理に無理がなかったかなどを調べている。

 一方、西日本高速は今月16日、当初の予定から1年遅れとなる平成30年3月末の全線開通を目指して橋桁の架設工事に入った。橋桁本体などに計測装置を設置し、24時間体制で橋桁の傾きや地盤沈下量などをコンピューターで管理。担当者が数値の変遷を監視する再発防止策を講じている。

【新名神橋桁落下事故】

 平成28年4月22日午後4時半ごろ、神戸市北区道場町平田の新名神高速道路建設現場で、長さ約120メートル、重さ約1350トンの橋桁が落下。作業員2人が死亡、8人が重軽傷を負った。真下を通る国道176号は、一部区間が約2カ月間通行止めとなった。西日本高速道路などは地元住民や近隣店舗に補償を行い、今年4月時点で申請を受けた約260件の9割の交渉を終えた。

「産経WEST」のランキング