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被災者勇気づけた「奇跡の一本石垣」が解体へ、再建に向けて積み直す 熊本城の飯田丸五階櫓

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被災者勇気づけた「奇跡の一本石垣」が解体へ、再建に向けて積み直す 熊本城の飯田丸五階櫓

復旧工事が進む熊本城の飯田丸五階櫓(宮沢宗士郎撮影) 復旧工事が進む熊本城の飯田丸五階櫓(宮沢宗士郎撮影)

 熊本地震で大きな被害を受け、その姿から「奇跡の一本石垣」として知られた熊本城飯田丸五階櫓について、大林組と熊本市が、石垣の復旧方針を固めた。倒壊防止の工事を施した上で、いったん解体し、石垣を積み直す。(谷田智恒)

 「きちんと修復するには、仕方がないですね。早く楽にさせてあげてほしいとも思う」

 櫓を真正面に望む日本料理店「城見櫓」の運営会社社長、林祥増氏(53)は感慨深そうに語った。

 飯田丸五階櫓は、昨年4月16日の本震で石垣が大きく崩落した。一筋の石組みが、建物を支えている状態になった。その様子は「奇跡の一本石垣」と呼ばれ、被災者を励ました。

 林氏も踏ん張る一本石垣に勇気づけられた。

 地震で店が入るビルは被害を受け、営業停止に追い込まれた。創業者である父は、店を廃業した。

 だが、林氏は諦めきれなかった。

 「従業員の生活もあり、踏ん張らねばと思った。あの石垣のように…」

 新しい運営会社を設立し、店再建にこぎ着けた。「私と同じように、あの櫓に勇気づけられた人は多いんじゃないでしょうか」と語った。

 飯田丸五階櫓は天守閣の南西に位置する。西南戦争で熊本城が戦場となる前に、陸軍に破却された。平成17年に木造で復元された。

 だが、昨年の地震で城は大きな被害を受けた。

 大林組が、難しい再建作業を担うことになった。同社は昭和35年の天守閣再建や平成になっての本丸御殿復元工事も手がけた。

 市の推定では、一本石垣には17~18トンの重量がかかっている。しかも石垣が支えているのは、柱ではなく、壁の部分だ。15本あった柱の基礎は、半分以上崩壊した。建物全体が崩れなかったのは、天井や内部の木組みが頑丈だからという。

 まず、倒壊防止の応急工事が必要だった。

 史跡保護のため崩壊を免れた石垣や、地盤を変質させることはできない。こうした制約の中、当初、地盤から鉄骨を斜めに差し込んで、櫓を支える方法が考えられた。だが、この手法では、櫓の中央部にある柱を支えられないと、わかった。

 新たに出たアイデアが、櫓全体を、巨大な「鉄の腕」で抱え込む工法だった。

 櫓から離れた場所で、全長約33メートル、高さ約14メートル、奥行き約6メートルの鉄骨の台を組み上げた。油圧ジャッキと地面に敷いたレールを使い、櫓へ移動させ、「鉄の腕」で櫓を抱え込んだ。

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