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【西論】JR脱線事故12年 「安全」を企業のDNAにすべし

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【西論】
JR脱線事故12年 「安全」を企業のDNAにすべし

スピード超過の快速電車は脱線後、線路脇のマンション駐車場に激突し大破。乗客106人が犠牲となった =平成17(2005)年4月25日午前、兵庫県尼崎市(本社ヘリから) スピード超過の快速電車は脱線後、線路脇のマンション駐車場に激突し大破。乗客106人が犠牲となった =平成17(2005)年4月25日午前、兵庫県尼崎市(本社ヘリから)

 ◆JR西と「組織罰」

 JR西は、この間、現役社長が書類送検され、在宅起訴される事態に陥った。事故当時の社長を含む歴代3社長が、いまだ被告の立場を脱することができていない。一方、事故が発生した17年に自らの反省と今後の取り組みを示す「安全性向上計画」を策定。利益優先とされた企業風土の変革や「事故の芽」報告の徹底、懲罰的な研修と指摘をうけた「日勤教育」の見直し、運行や設備面での安全対策として列車自動停止装置の整備のスピードアップや、列車ダイヤの見直しも進めた。安全研修施設の「鉄道安全考動館」も新設し、社員全員に脱線事故現場と考動館で合計3時間の研修を義務づけた。

 実際にJR西の安全投資は事故前の16年の約470億円から、事故後は毎年、2~2・5倍に増えた。昨年から運転士らの人為ミスを懲戒対象からはずし、事故の予兆事象の収集を優先する制度も導入。車両強度を高めるなどの設備面の改善も進んだ。

 ただ、「加害企業」の責任を問う声は根強くある。裁判で有罪判決が一度もないからだ。このグループは「法人を罰する仕組みのない法体系に問題がある」とし、重大事故を引き起こした企業に刑事罰を科す「組織罰」の制定を求めている。刑法の業務上過失致死傷罪に法人の罰金を加えることを想定。組織罰が導入されれば、企業に緊張感が生まれ、安全にコストをかける圧力が高まるはずだ-と提案する。

 組織罰には、慎重な見方もある。刑罰を導入すると、調査ではなく「捜査」の比重が高まり、隠蔽(いんぺい)が増える懸念もある。原因解明が遅れれば安全にとってマイナスだ。また、公共交通を担う企業に故意でない事故で「懲罰」を科すのは、公益を担う企業の役割と合致しないとする専門家もいる。公益企業は安全対策の充実などの公共への貢献で責任を果たすべきだという。

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