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【正木利和のスポカル】マティスとルオー、巨匠の友情はこうして始まった

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【正木利和のスポカル】
マティスとルオー、巨匠の友情はこうして始まった

アンリ・マティス「コドマ兄弟」(『ジャズ』より) 1947年 うらわ美術館 アンリ・マティス「コドマ兄弟」(『ジャズ』より) 1947年 うらわ美術館

 それは、マティスがルオーに対してどれほど大きな敬意を抱いていたかを示す記録といってもいいだろう。

 一方、ルオーからマティスにあてたものは、「ことあるごとに君のことを考えている。健康状態がすぐれないと聞いてどうしようかと迷っていた」(年記なし。おそらく1944年1月投函(とうかん))というように、病弱な友を心配するものが多い。友を思いやる気持ちは、ルオーもマティスに劣らないほど抱えていたのである。

 しかし、静かに語りかけるような文章を書くマティスに対し、ルオーは筆まかせに激情型の文章をつづることが多い。また、便箋の文字や手紙の書き方などからも二人の対照的な性格が読み解ける。若いころのマティスは行間を整えた丁寧な文字で書簡を書き進めているが、ルオーの方は体裁などかまう方ではなかったのだろう、便箋のあちこちに線をひっぱったり、欄外にメモをするように文章を書き付けたりもしている。

 あれほど重厚な絵画を描くルオーが、これほど饒舌(じょうぜつ)な文章を書くとはにわかに信じがたくなるような、意外な手紙も多い。

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 成績はふるわないがカネ持ちで、国内各地をはじめイタリア、さらにはアフリカなど陽光降り注ぐところを旅し、それをもとに知性を働かせながら自分の画風をこしらえたマティス。一方、都会の底辺に生きる人たちにきまじめなまなざしを向け、豊かな感受性でその苦悩までを描き出そうとした秀才ルオー。

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