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【鹿間孝一のなにわ逍遙】「森友問題」は大阪を誤解させる

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【鹿間孝一のなにわ逍遙】
「森友問題」は大阪を誤解させる

参院予算委の証人喚問で、質問に答えるため挙手する籠池泰典氏=23日午前10時48分 参院予算委の証人喚問で、質問に答えるため挙手する籠池泰典氏=23日午前10時48分

 当時の学問といえば儒学で、主に武士が学んだ。江戸の学者は、儒学は国を治める学問だと称して学説をひけらかす。仕官して御用学者になり、あわよくば権力を手にして天下に号令したいという腹づもりもあった。

 これに対して懐徳堂は、身分をいっさい問わず、商家の番頭、手代らが入って聴講した。学則に「学問は忠孝をつくし、職業を勤めるためにある。講義もこのことが第一で、本を持たない人が聞いてもよく、仕事のあるときは途中で退席してもよい」と記した。

     ◇

 司馬遼太郎さんはこう書いている。

 「私はこのまちのうまれた者として、かつてこのまちに懐徳堂があったことを思うとき、自然に微笑がうかぶほど誇らしいのである」(「大阪の原形」から)

 ここで学んだ人に山片蟠桃(やまがた・ばんとう)がいる。幼くして金融業の升屋に奉公し、大名貸しが焦げ付いて傾いた主家を立て直した。番頭だったから号を蟠桃としたという。実務家であり、思想家であった。儒学だけではあきたらず、蘭学にも興味を持って、地動説を説き、唯物論的世界観を樹立しようとした。

 司馬さんではないが、大阪がこうしたスケールの大きな学者を生んだことに胸を張りたくなる。

 籠池氏は教育者とは言えまい。「理想の教育」を口にしてはいたが、やっていたのは「そろばん勘定」ばかりだ。

 それも政治家に口利きを頼み、役人を手玉に取ろうとするのは、「官に頼まず」の大阪の伝統から外れている。

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鹿間孝一 鹿間孝一 産経新聞特別記者兼論説委員(平成25年9月まで大阪特派員を兼務)。北海道生まれの大阪人。生涯一記者を自任していたが、なぜか社命によりサンケイリビング新聞社、日本工業新聞社で経営にタッチして、産経新聞に復帰した。記者歴30余年のうち大半が社会部遊軍。これといった専門分野はないが、その分、広く浅く、何にでも興味を持つ。とくに阪神タイガースとゴルフが好き。夕刊一面コラム「湊町365」(「産経ニュースWEST」では「浪速風」)を担当。共著に「新聞記者 司馬遼太郎」「20世紀かく語りき」「ブランドはなぜ墜ちたか」「なにが幼い命を奪ったのか 池田小児童殺傷事件」など。司馬遼太郎に憧れるも、いうまでもなく遼に及ばず。

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