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【洲本5人刺殺】
2度の精神鑑定…責任能力どう判断、22日判決
措置入院患者の退院後のケア課題
平野達彦被告は事件前、精神障害により周囲に危害を加える恐れがあるとして、2度にわたり措置入院。事件は退院後、関係機関が転居先を把握できずに治療が中断されている中で起こった。昨年7月に相模原市で起きた障害者施設殺傷事件で殺人などの罪で起訴された男も措置入院歴があり、退院後の継続的な治療のあり方が課題となっている。
事件を受け、兵庫県が設置した有識者による県精神保健医療体制検討委員会は「関係機関の情報共有が不十分で、医療の中断に対して適切に対応できなかった」と指摘。提言を受けた県は28年4月、行政と医療機関、警察が情報を共有する連絡会議や、措置入院解除後に患者が地域で孤立しないようサポートする「継続支援チーム」を設置した。医師や保健師らが症状の変化や日常生活に支障がないかを定期的に確認し、社会復帰を支援する仕組みだ。
一方、政府は再発防止策を盛り込んだ精神保健福祉法の改正案を2月28日に閣議決定し、今国会に提出。患者の入院中から行政側が医療機関と協力して退院後の支援計画を作成するようにし、計画の期間中に患者が転居した場合は移転先の自治体に計画の内容を通知することを柱としている。