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【水中考古学へのいざない(11)】海賊たちは意外と「普通の生活」を送っていた? 海底に沈んだジャマイカの港町「ポート・ロイヤル」

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【水中考古学へのいざない(11)】
海賊たちは意外と「普通の生活」を送っていた? 海底に沈んだジャマイカの港町「ポート・ロイヤル」

ポート・ロイヤル海底都市での発掘調査の様子。レンガ造りの廃墟の街並みが果てしなく続く ポート・ロイヤル海底都市での発掘調査の様子。レンガ造りの廃墟の街並みが果てしなく続く

 †巨大地震と津波で町の3分の2が海底に

 1692年、ジャマイカ島を襲った巨大地震と津波で、約20万平方メートルのポート・ロイヤルの約3分の2が一瞬にして海中にのみ込まれた。当時、カリブ海に君臨した大海賊ヘンリー・モーガンの本拠地で、西インド諸島貿易の拠点でもあった。

 その後、海賊たちはこの地を離れ、植民地開拓者もほとんどいなくなり、現存する町に往時の面影はない。海底に眠る都市を初めて発見したのは、海底の宝探しを行っていた米国人、ハリー・リズバーグだった。

 1981年から90年にかけ、米テキサスA&M大学が水中考古学研究所(INA)とジャマイカ政府の後援のもと、発掘調査を行った。浅くて比較的安全ということもあり、水中考古学者を目指す学生らが野外実習に訪れた。以降、発掘法や海底地図作製法、水中写真撮影法などの実務を学べる実践訓練センターとしての役割を担ってきた。

 これまでの発掘で、シロメ製(錫(すず)、鉛、真鍮(しんちゅう)、銅の合金)の食器類、銀製のスプーンやフォーク、真鍮のろうそく立て、ガラス容器、陶磁器…とさまざまなものが発見された。私が参加したときには、少年の骨や沈没船の一部などが回収された。

 「失われた文明」の再発見の旅へと漕ぎ出したばかりだった私にとって、レゲエ音楽を毎日聴きながらこの地で送った合宿生活は忘れられない思い出である。研究に没頭していると、いまでも、けだるいレゲエ音楽が聞こえてくるようだ。

                    (水中考古学者 井上たかひこ)

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