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世界遺産「春日山原始林」もピンチ…奈良県で昨年のナラ枯れ被害、全国最大規模に

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世界遺産「春日山原始林」もピンチ…奈良県で昨年のナラ枯れ被害、全国最大規模に

 被害が拡大した要因は「里山の荒廃」とされる。ナラ枯れを引き起こす昆虫「カシノナガキクイムシ」(カシナガ)は、直径10センチ以下の木では繁殖しにくく、太く育った大木を好む。奈良県内ではかつて、ナラ類は炭や薪、シイタケの原木としてこまめに伐採、利用されたが、木材価格の低下などで放置される森林が増え、大木が残ったままになっているという。

 ナラ枯れの被害木は枝が落ち、倒木するなど危険性が高い。被害を食い止めようと全国でさまざまな対策が講じられているが、拡大は早く、有効な手立てがないのが現状だ。

 春日山原始林での対応について、県は、ナラ枯れ予防に防虫ネットを木の周りに張り、ペットボトルでカシナガを捕まえるわなを仕掛けるなどの対策を実施。28年度からは、幹に最新の高濃度殺菌剤を注入する取り組みも始めた。ただ、この費用は木1本当たり約1万7千円と高く、実施できるのは、春日山原始林の中でも後継樹の種子を落とす「母樹」となる大木など、「貴重な木に限られる」(県担当者)という。

 一度被害が拡大すれば、カシナガのエサとなる木がなくなるまで、被害の収束は難しいとされ、奈良県より早くに被害が拡大した京都府では、拡大から収束まで約6年かかったという。奈良県の担当者は「今年も昨年と同規模の被害が出る可能性が高い。収束するまでは人身、物損被害が出ないよう、枯れた木をこまめに伐採するしかない」と話している。

 ■ナラ枯れ 体長約5ミリの昆虫「カシノナガキクイムシ」(カシナガ)が樹木に穴を開け、ナラ類、シイ・カシ類を枯らす病原菌「ナラ菌」を持ち込むことで発生する。被害を受けた木は紅葉前の7~8月に葉が赤く変色して枯れる。カシナガの幼虫は木の中で越冬、翌年6月ごろに成虫となって新たな木に移り、被害を広げていく。

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