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【経済裏読み】TPP危機で韓国経済に「漁夫の利」期待 悩みは「中国にも後れをとる」輸出力と不毛な会議

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【経済裏読み】
TPP危機で韓国経済に「漁夫の利」期待 悩みは「中国にも後れをとる」輸出力と不毛な会議

ソウル市ではためく韓国の国旗とサムスングループの旗。スキャンダルもあって経済の停滞が懸念されている(ロイター) ソウル市ではためく韓国の国旗とサムスングループの旗。スキャンダルもあって経済の停滞が懸念されている(ロイター)

 トランプ米大統領が日本などによる環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)からの脱退を決め、韓国では「チャンス到来」との声が上がっている。日本と違って米国とFTA(自由貿易協定)を結ぶ韓国が相対的に有利になる、との見立てだ。ただ、実態を分析してみると韓国の実力はみかけほどではないとの報告も。改革が必要だが、韓国の企業文化が足を引っ張っているらしい。

間接的に利益が

 「韓国の自動車や小型家電の競争力が高まる見込み」。韓国の聯合ニュースは、米国のTPP離脱の影響をこう報じた。「日本はTPPで期待していた関税引き下げや規制緩和の効果を得られなくなった」。

 根拠になったのは、大韓貿易投資振興公社が1日に公表した報告書「米・日通商環境変化による韓・日経済および輸出要件分析」だ。「TPPを足がかりに経済を復興させようとする日本の計画にも支障が出た」としている。

 報告書は世界銀行の分析を引用。米国の参加するTPPが発効した場合、日本の国内総生産(GDP)は2・6%押し上げられ、輸出は23・2%増加、雇用は80万人以上増加する。一方、韓米FTAの効果は半減し、韓国のGDPは41億ドル、輸出は53億ドル以上減少する-はずだった。

 しかし、これがなくなるため、報告書は「TPPに参加していない韓国は間接的に利益が得られる」と指摘。日本は米国に自動車を輸出する際2・5%の関税がかかることなどを挙げ、米国とFTAを結ぶ韓国には自動車、部品、鉄鋼を関税ゼロで輸出できる優位性があることを強調した。

薄利多売

 ただ、こうした推計を額面通り受け止めることはできない。「中国よりも後れをとる『韓国輸出』の付加価値」。こんな記事が韓国有力紙、ハンギョレ(日本語電子版)に掲載された。

 韓国貿易協会が報告書「米国の貿易構造を通じて見た韓国の対米貿易戦略と示唆点」に基づく記事で、2014年の米国の対韓国貿易赤字345億ドルを付加価値でみると72億ドルへと79・1%も目減りすることを明らかにしている。

 韓国が米国から得る貿易黒字(輸出額-輸入額)のうち、韓国企業が原材料費などに上乗せした価値=付加価値は2割程度しかないということだ。日本の69・3%、ドイツの65・6%を大幅に下回り、中国の45・1%にも及ばない。

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