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【近大革命(15)】若手の熱意で豊田通商と近大マグロ量産化…会見で仕掛けた天然モノとの食べ比べ 近畿大学広報部長 世耕石弘

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【近大革命(15)】
若手の熱意で豊田通商と近大マグロ量産化…会見で仕掛けた天然モノとの食べ比べ 近畿大学広報部長 世耕石弘

天然モノと完全養殖の近大マグロの食べ比べに多くの報道陣が集まった豊田通商との提携会見=平成26年7月、東京都内(近大提供) 天然モノと完全養殖の近大マグロの食べ比べに多くの報道陣が集まった豊田通商との提携会見=平成26年7月、東京都内(近大提供)

▼(14)大阪駅前と東京銀座に養殖魚の料理店、研究成果を消費者に直接提供する実学…から続く

 近畿大学は、豊田通商と共同で世界で初めて完全養殖に成功した近大マグロの量産化を進めています。豊田通商は、受精卵の孵化(ふか)から体長5センチ程度の稚魚に育てる人工種苗の施設と、それから体長30センチ程度の幼魚にする施設を長崎県五島市に整備し、近大が研究者を派遣して孵化や稚魚の育成のノウハウを提供しています。3年後には養殖業者へ近大マグロの幼魚30万匹を出荷することを目指しています。これで近大の独自出荷分を含め国内養殖用種苗のかなりの部分を賄うことができます。

 同社とは平成26(2014)年に「水産養殖事業の覚書」を締結しましたが、そもそも20年に社の経理部に所属していた若手社員が「近大マグロ」を特集したテレビ番組をみたのがきっかけでした。この社員は東京から和歌山県の近大水産研究所を訪ね、「一緒にやりませんか」と持ちかけたといいます。もちろん水産事業とは全く関係のない経理部の名刺を持った社員の商談ですので、最初は信用していませんでしたが、何度も訪ねてくる熱意が伝わってきました。

 実は、近大も近大マグロの量産化を考えており、別の大手商社系の水産会社に共同事業を打診し、けんもほろろに断られた苦い経験がありました。若手社員の提案に対し豊田通商も「天然の幼魚を使わない持続可能な養殖事業に貢献できる」と参入を決断し、クロマグロの完全養殖で最も難しい産卵、孵化、稚魚・幼魚の育成までの共同事業が実現したのです。

最初に門前払いした水産会社が後から改めて共同事業を持ちかけ…

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