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【銀幕裏の声】ほとんど特攻、海面すれすれまで急降下…機首引き上げた瞬間に敵艦乗員と目が合った 爆撃グラマンを振り切った男(下)

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【銀幕裏の声】
ほとんど特攻、海面すれすれまで急降下…機首引き上げた瞬間に敵艦乗員と目が合った 爆撃グラマンを振り切った男(下)

日本海軍の高速艦爆「彗星」。大野さんは「グラマンを何度も振り切った」という 日本海軍の高速艦爆「彗星」。大野さんは「グラマンを何度も振り切った」という

 「私たちはあれに乗るのか!? 友人と思わず目を合わせました」

 しかし、訓練が始まるとその恐怖心は消し飛んだという。これまで乗っていた旧式の九九艦爆と違い、「彗星ははるかに性能が勝っていた」という。「九九艦爆は脚が出たままの固定式。彗星は離陸した後、脚を収納するので空気抵抗も少なくスピードは段違いに速かった。最高速度は戦闘機の零戦よりも速かったのですから」

「危険で無謀」と先輩搭乗員に批判された“必殺技”

 大野さんが彗星搭乗員として着任したのはフィリピンのマバラカットだった。

 「着いてみて驚きました。他の搭乗員はみんなパールハーバー(真珠湾攻撃)やミッドウェイ海戦で戦ってきた歴戦の猛者ばかり。こちらはまだ18歳ですからね…」

 しかし、高性能の彗星を得た大野さんたちの独自の戦い方は他のベテラン搭乗員をも驚かせたという。

 レーダー網をくぐり抜け高度約7千メートルで敵艦隊の上空へ侵入。爆弾を投下するために急降下するのだが、他の艦爆が高度1千メートルあたりで爆弾投下の体勢をとるのに対し、大野さんたち新着任した若い搭乗員らはより敵艦に近づくために約650メートルまで降下。爆弾投下時には急降下の勢いでさらに機体は降下し、高度約300メートルで機首を引き起こしていたという。

 他のベテラン搭乗員らは「危険で無謀な攻撃方法だ」と大野さんたちを批判したが、大野さんはこう反論する。

 「実は敵艦にできるだけ近づいた方が安全なことが分かったんですよ。敵艦上空ぎりぎりで反転すれば、艦砲射撃の軌道から機体をはずすことができるんです。ただし敵艦の弾幕をすり抜けて近づくことができたらの話ですが…」

「ほとんど“特攻”といえる、私の急降下爆撃の方法」

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