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【正木利和のスポカル】糸で紡ぐ現代アート 「べっぴんさん」清川あさみ作品を読み解く愉しみ

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【正木利和のスポカル】
糸で紡ぐ現代アート 「べっぴんさん」清川あさみ作品を読み解く愉しみ

「美女採集」<二階堂ふみ×コブラ> 2016(C)asamikiyokawa  「美女採集」<二階堂ふみ×コブラ> 2016(C)asamikiyokawa 

 正直にいえば、NHKの朝ドラ「べっぴんさん」のタイトルバックが、はじめのうちはちょっと苦手だった。その色彩世界が、あまりにとりとめのないように感じられたせいだろうと思う。

 主人公を演じる女優、芳根京子が蝶を追いながら歩いてゆく背景に、さまざまなものが現れる。はさみやミシン、リボンにボタン。さらに山々や太陽、虹などの自然がバックになったとき、テントウムシや蝶、コウノトリにキリンといった生き物まで登場する。

 ところが、ドラマを見ていくうちに、そのタイトルバックのなかにストーリーがさりげなく織り込まれていることがわかってくると、案外いかすじゃないか、と思えてきた。きっと、その不思議な世界になじんできたこともあるのだろう。

 その作者である美術家、清川あさみ(37)の個展が、京都市下京区の美術館「えき」KYOTOで開催されている。

http://kyoto.wjr-isetan.co.jp/museum/exhibition_1702.html

▼美術館「えき」KYOTO - ジェイアール京都伊勢丹(外部サイト)

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 展示の最初からくぎ付けになった。「わたしたちのおはなし」と題されたコーナーには、70冊を超えるさまざまな本が並んでいた。驚いたのは、どの本も開かれたページに刺繍(ししゅう)が施されてあったことだ。作家が所有する本のなかで、とりわけ思い入れのあるページに刺繍でドローイングして作品にしているのだという。

 本棚を見れば、その人物がわかるといわれるが、スタンダールの「赤と黒」、ゲーテの「若きウェルテルの悩み」、紫式部の「源氏物語」、漱石の「こころ」といった不朽の名作から、フィッツジェラルドの「グレート・ギャツビー」や山本周五郎の「さぶ」など心のうずきが感じられる小説まであった。

 とりわけ印象に残ったのが芥川龍之介の「地獄変」だ。主人公の画家が、火に包まれた自分の娘を描くページには、赤い糸で紅蓮の炎が描き出してあった。

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 続く壁面には若者たちのスナップ写真がずらりと飾られていた。しかし、よく見ると、顔とその周辺は刺繍によっておおわれている。「TOKYOモンスター」と題された、その作品群は、90年代ファッション誌のスナップをモチーフに、東京をさすらう若者たちのコンプレックスや虚栄心のあらわれを「モンスター」になぞらえているのだという。

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