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【夕焼けエッセー】初めてのお泊まり

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【夕焼けエッセー】
初めてのお泊まり

 午後である。「こんにちは!」。元気な声で5歳の孫娘がピンクのリュックを背負って母親とやってきた。以前から、ひとりでお泊まりをしたいと約束をしていた。

 母親は「行儀良くしてね」と帰っていった。孫は脱いだくつを揃えて部屋に入りリュックの中から花火とトランプを出した。

 「花火はネ、暗くなってからするねん。トランプは今、やろう!」。そうや、今日はじじ、ばば、が童心に帰って一緒に遊ぶことが孫への“おもてなし”である。

 3人は向かい合い、七並べをした。両手に持ったトランプ札を順番に出していく。

 「あれ、困ったなぁ。出す札がない!」と爺ちゃん。

 「じいじ、見てあげよぉ。ダイヤの4が出せるよ」とアドバイス。

 結果、私が1位、2位になった孫は惜しそうな顔で「今度は神経衰弱やろう!」。

 「婆ちゃん、それ苦手やわ」

 「大丈夫だよ。2位になれるから」。耳元でささやく。

 言葉通り1位になった孫は上機嫌だ。晩ご飯のにぎり寿司もにぎやかに食べると、なおおいしい。

 さあ、次は花火だ。家の前で「キレイやなあ」と楽しい時間を過ごした。

 時計は9時である。川の字に布団を敷くと爺ちゃんはバタンキュー。しかし、孫はなかなか寝付けない様子。私は孫の背中をポンポンしながら子守歌をやさしく歌う。気がつくと眠っていた。

 遊びの中で、人をいたわるところもあった。そんな気持ちを大切にして成長することを願い、寝顔を見ていた。

後藤悦子(76) 大阪市天王寺区

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