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【鹿間孝一のなにわ逍遙】「阪僑」がまかり通るお笑い界

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【鹿間孝一のなにわ逍遙】
「阪僑」がまかり通るお笑い界

ジャーナリストで評論家の大宅壮一  ジャーナリストで評論家の大宅壮一 

 新語・流行語大賞が話題になる時期だが、候補に上がっているのは流行語というより、各分野の10大ニュースをそのまま並べただけで、あまりひねりがない。おそらく年が明ければ、すぐにも忘れられてしまうだろう。

 かつて新造語を数多く生み出したのが「天下の野次馬」と称したジャーナリストの大宅壮一である。その言葉は批評精神にあふれ、かつ賞味期限が長かった。

 例えば、威張りくさっていた亭主が女房にぺこぺこする戦後の風潮を「恐妻」と呼んだのは、今や辞書にも載っている。中国の文化大革命や紅衛兵を「尊毛攘夷」と表現したのも、なかなかうまい。

 各地に雨後のタケノコのように新設された大学を「駅弁大学」、接待ゴルフを「緑の待合」と皮肉った。最も有名なのは、テレビ時代を「一億総白痴化」。これはもう使われない。

 大宅語録の一つに「阪僑」がある。

     ◇

 大宅は大阪生まれで、自身を解剖するように大阪人気質を分析した。とくに経済の分野での東京進出を中国人の「華僑」に擬(なぞら)えた。

 金をもうけるために努力し、倹約もするが、人生を楽しむことにはすこぶる積極的。

 「文藝春秋」(昭和33年6月号)に書かれた「“阪僑”まかり通る」にこんな挿話がある。

 〈むかし、船場のある大きな商家の主人が、隠居して腰が痛むので、有馬に湯治にいくことになった。

 さて、有馬につくと、宿の主人にいった。

 「自分は貧乏人で金がないが、台所仕事を手伝わせて、湯に入れてくれまいか」

 試みに働かせてみると、なかなか気がきいて、台所のムダを省く。湯治客も、彼に買い物に頼むと、品物をよく吟味して、安く買ってくれる。それやこれやで、たいへん人気が出て、有馬を引きあげるときには、餞別(せんべつ)が一両二朱も集まった。

 帰ってくると、家のものが大勢出迎えて、「ご隠居さん、費用はいくらかかりました」

 すると、自分がやったことを説明していった。

 「町人が暇をつぶして湯治に行くのだから、その分はとりもどさねばならぬ。しかも、先方も損にならず、こちらも損にならぬ、これが渡世のコツというものだ」〉

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