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【役に立つマーケティング戦略(5完)】シャープの失敗に想う 高知工科大経済・マネジメント学群教授 永島正康さん

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【役に立つマーケティング戦略(5完)】
シャープの失敗に想う 高知工科大経済・マネジメント学群教授 永島正康さん

経営危機に陥ったシャープの失敗からマーケティング面で学ぶことは多い(写真は今年9月、東京都内でテレビ事業展開について説明するシャープの担当者) 経営危機に陥ったシャープの失敗からマーケティング面で学ぶことは多い(写真は今年9月、東京都内でテレビ事業展開について説明するシャープの担当者)

 商品のセンスが光る大変ユニークな存在だったシャープは、どこにいってしまったのだろうか。かつて液晶テレビで一世を風靡(ふうび)したにもかかわらず、経営危機に追い込まれ、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業に買収されてしまった。この事例を、大きな視点、未来、適合というマーケティング戦略の3つの枠組みから見てみよう。

 まずは、大きな視点という観点から、液晶テレビが登場し始めた2000年以降のテレビの業界構造を見ていく。2000年代前半に、製品技術のデジタル化が進み、日本企業が得意としてきた「すり合わせ型」(部品の仕様を相互に調整し、製品ごとに最適設計を行うことで高い性能を実現する製品分類)から、「組み合わせ型」(すでに標準化された部品の組み合わせで製品として魅力的な性能を実現する製品分類)へ産業構造がシフトした。

 液晶パネルさえあれば、誰でも比較的簡単にテレビを作れるようになった結果、最終製品価格が大きく低下し、同時に業界全体の利益もデバイス製造(液晶パネル)にシフトしていった。「組み合わせ型」の産業構造においては、液晶パネルの供給量で他社を凌駕(りょうが)し、圧倒的なコスト競争力を手にすることが成功のカギになる。

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