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【鹿間孝一のなにわ逍遙】阪田三吉、端歩も突いた 女房も泣かす将棋「王将」…実際は

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【鹿間孝一のなにわ逍遙】
阪田三吉、端歩も突いた 女房も泣かす将棋「王将」…実際は

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 「六十八歳の老齢で、9四歩などという天馬のごとき溌剌(はつらつ)とした若々しい奇手を生み出す阪田の青春に、私はぴしゃりと鞭打たれたような気がした」

     ◇

 この端歩突きはさまざまな解釈があって、いまだにナゾである。

 たんなるハッタリだという意見もある。自分の方が強いから、これぐらいのハンディをつけても大丈夫という自信の表れと見る向きもある。あるいは関東の理論将棋への挑戦という見解もある。

 ただ、阪田が考えに考えた末であることは間違いあるまい。相手の動揺を誘おうとしたのかもしれない。序盤から有利になった油断から勝機が生まれると見たのかもしれない。

 いずれにしても「打倒関東」のほとばしる思いが指させた一手だろう。

     ◇

 結果は、この端歩突きが響いて阪田は敗れた。だが、端歩突きによって「南禅寺の決戦」は将棋ファンの脳裏に刻まれた。

 盤上に人間くささがあふれる。それが阪田三吉の魅力である。

 なにかと話題の将棋ソフトやコンピューター将棋とは、ひと味違うことがおわかりだろう。

鹿間孝一 鹿間孝一 産経新聞特別記者兼論説委員(平成25年9月まで大阪特派員を兼務)。北海道生まれの大阪人。生涯一記者を自任していたが、なぜか社命によりサンケイリビング新聞社、日本工業新聞社で経営にタッチして、産経新聞に復帰した。記者歴30余年のうち大半が社会部遊軍。これといった専門分野はないが、その分、広く浅く、何にでも興味を持つ。とくに阪神タイガースとゴルフが好き。夕刊一面コラム「湊町365」(「産経ニュースWEST」では「浪速風」)を担当。共著に「新聞記者 司馬遼太郎」「20世紀かく語りき」「ブランドはなぜ墜ちたか」「なにが幼い命を奪ったのか 池田小児童殺傷事件」など。司馬遼太郎に憧れるも、いうまでもなく遼に及ばず。

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