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【坂口至徳の科学の現場を歩く】アレルギー治療など創薬へ…自然免疫に重要なタンパク質、構造など解明 東大・阪大

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【坂口至徳の科学の現場を歩く】
アレルギー治療など創薬へ…自然免疫に重要なタンパク質、構造など解明 東大・阪大

TLR7の活性化機構。まず、ウリジン塩基(U)を含む一本鎖RNAを認識し、次いでグアノシン(G)を認識することで活性化型の2量体が形成される(東京大学提供) TLR7の活性化機構。まず、ウリジン塩基(U)を含む一本鎖RNAを認識し、次いでグアノシン(G)を認識することで活性化型の2量体が形成される(東京大学提供)

 動物の体内には病原体など異物を排除する免疫の仕組みが備わっていて体を守っている。病原体などが侵入すると、最初に無作為に働くのが自然免疫で、次いで病原体の種類に対応して攻撃する獲得免疫が作動する。この自然免疫のシステムの中で重要な役割をするのが、細胞の表面にあり、病原体が持つ特定の分子を感知する「トル様受容体(TLR)」と呼ばれるタンパク質。この受容体が活性化すると、自然免疫のシステムが動き出し、炎症反応や抗ウイルス応答が起きて病原体を排除する。

 ヒトのTLRには「TLR1」から「TLR10」まで10種類あり、ウイルスの増殖抑制などの作用があるインターフェロンの産生を促す「TLR7」については詳細な立体構造や認識の機構がわからず、創薬の面からも解明が待たれていた。

■ウイルスのRNAなど2物質を認識し増強…

 東京大学大学院薬学系研究科の清水敏之教授、張志寛大学院生、大戸梅治准教授、大阪大学大学院工学研究科の内山進准教授、首都大学東京などの研究グループは、TLR7が特定の分子と複合体をつくるときの詳細な立体構造を世界で初めて明らかにした。さらに、RNAと低分子の物質というウイルスが持つ2種類の分子に対し受容体の2カ所で同時に認識して増強されるという新たな機構も突き止めた。ワクチンの補強剤やウイルス感染、アレルギーに対する治療薬などの開発につながると期待される。

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