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【理研が語る】思いやる行動、共感という心の動き…脳のメカニズムから明らかにする

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【理研が語る】
思いやる行動、共感という心の動き…脳のメカニズムから明らかにする

コモンマーモセットは家族が協力して子育てをする。脳の大きさは体重比に換算すると人間とほぼ同じだ コモンマーモセットは家族が協力して子育てをする。脳の大きさは体重比に換算すると人間とほぼ同じだ

 今年の夏、遠く地球の裏側のブラジルで開催されたオリンピック。さまざまなドラマに感動したが、私はある日本の柔道金メダリストの表情に目を奪われた。彼は決勝で勝負が決まった瞬間、そして礼をして畳を降りるまで、ニコリともしなかったのだ。その理由は「相手を敬って」のことだという。

 困っている仲間を助けたり、自らの感情を抑えて相手を思いやったりする。このような行動は、実は人間だけのものではない。さまざまな動物にみられる親子の愛情にはじまり、働きアリが担う自己犠牲、さらにゾウ、サル、チンパンジーにはもっと複雑な協力行動が可能だ。

 動物が一見ヒトと同じようにふるまうとき、動物にもヒトと同じ感情や目的が存在すると解釈することを「擬人化」という。そこに明確な科学的根拠を与えられなかったこれまでの動物行動学は、これを意図的に避けてきた。しかし今、脳のメカニズムを知ることで、この問題は乗り越えることができる。

 現在私が取り組んでいるテーマは他人を思いやる行動、それを支える「共感」という心の動きを、脳の働きという視点から明らかにすることである。

 「共感」するヒトの脳では何が起こっているのか、脳イメージングを使った研究が進んでいる。広い脳の異なる領域で同時に活動する神経のネットワークや、神経細胞間の情報伝達を調節する化学物質の働きを、ヒトの脳で生きたままリアルタイムにとらえるのだ。

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