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【夕焼けエッセー】アーモンドアイズ

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【夕焼けエッセー】
アーモンドアイズ

 口角をきゅっとあげて、彼の寝顔はいつも笑っているみたい。

 名前は虎太郎。阪神ファンというわけではない。6年前の寅年の日に出会った、キジトラ白の男の子だから虎太郎。

 真っ白な手足。額は富士を描いたようなハチワレで、鼻はきれいな桜色。おなかは綿毛のようにふわふわで、触れているだけで幸せをくれる。言葉は話せないが、欲求に対して猛烈なアピールをしてくる。

 出勤前の慌ただしい時間に「にゃ~ん(ブラッシングして~)」。ごめん!時間ない!

 仕事から帰ると階段から転げるように下りてきて「にゃ~ん(おなかすいた~)」。ちょっと着替えさせて!

 冬はこっちこっちと寝室に誘導し「にゃ~ん(もう寝よう~)」。まだ早いやろ?

 どんな夢を見ているのだろうか、“笑い顔”でひげや手足をぴくぴくさせる虎太郎。もし外の世界を自由に走り回れる環境であったなら、彼にとってはその方が幸せだったのだろうかとふと思う。ほんの少しだけ迷いがあるときは、缶詰をプレゼント。パカッ、という音を聞いてやってくる彼を見て、不安を打ち消す。

 「にゃ~ん!にゃ~ん!(ごちそうやろ?それ、ごちそうやろ!)」。バランスのとれたアーモンドアイズはみるみるうちに期待から確信に変わる。ぽってりとした頬からのど元に手をやると、伝わってくるゴロゴロはご満悦のサイン。

伴 真知佳 40 学校職員 大阪府羽曳野市

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