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【石野伸子の読み直し浪花女】須賀敦子の終わらない旅(3)24歳でヨーロッパの地、新聞見出し「〝女教授〟の夢も乗せて」!?

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【石野伸子の読み直し浪花女】
須賀敦子の終わらない旅(3)24歳でヨーロッパの地、新聞見出し「〝女教授〟の夢も乗せて」!?

須賀敦子のデビュー作「ミラノ霧の風景」。白水Uブックスで版を重ねている 須賀敦子のデビュー作「ミラノ霧の風景」。白水Uブックスで版を重ねている

 聖心女子大を卒業後、そのまま実家に帰る道を拒み、慶応大学大学院社会学研究科に進んだ。その在学中、留学試験に合格して大学院を中退。自らの強い意志でやってきたフランスだった。

 しかし、そこは須賀にとっては重苦しい場所だった。

 同じ「ヴェネツィアの宿」に収録された「大聖堂まで」ではこう書いている。

 「はじめてのヨーロッパは、日本で予想していたよりずっときびしかった。言葉の壁はもちろん私を苦しめたが、それより根本的なのは、この国の人たちのものの考え方の文法のようなものへの手がかりがつかめないことだった。自分に似た知的な問題をかかえているフランス人との対話が、いや出会いさえが、パリの自分にはまったく拒まれているように思えて、私はいらだっていた」

 先のエッセーに書いたカティアはドイツからやってきた寮のルームメート。自分の道を見極めたいとフランスにやってきた元中学教師だ。自分の信じる道を着実に前進するカティアをみて、あせりを募らせる。

 結局、手応えのないまま2年間の留学生活を終えて帰国するが、ただ無為な日々を送ったわけではない。イタリアという次の足がかりをしっかり見つけていた。須賀敦子はいつも自力で自分の歩む道をみつける。   =続く

石野伸子 石野伸子 産経新聞特別記者兼編集委員。生活面記者として長らく大阪の衣食住を取材。生活実感にもとづき自分の足と感性で発見したホンネコラムをつづるのを信条としている。

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