産経WEST

【都市を生きる建築(75)】むき出しのH形鋼が「重厚長大」時代を象徴 EXPO ’70パビリオン(鉄鋼館)

産経WEST 産経WEST

記事詳細

更新

【都市を生きる建築(75)】
むき出しのH形鋼が「重厚長大」時代を象徴 EXPO ’70パビリオン(鉄鋼館)

耐候性鋼の素材感が印象的な外観。風雨にさらされることで保護性のさびが生じ、強度を保つ(西岡潔撮影) 耐候性鋼の素材感が印象的な外観。風雨にさらされることで保護性のさびが生じ、強度を保つ(西岡潔撮影)

 関西でオリジナルの状態をとどめる前川の作品は意外にも、本館のみ。作風を知る上でも貴重だ。先ほど触れた素材感のある打ち放しコンクリートや大きめの床タイルは、他の作品でもよく登場する。

 前川は合理精神に基づいて工業製品を用いながら、手の味わいを残した材料を好み、それによって確固とした空間を組み立てた。軽薄短小ではなく、社会的使命を引き受けた重厚長大ともいえる存在。作品にはコンクリートの印象が強いが、そんな性格は「鉄鋼」に似ている。

 1970年らしいのは、このような鉄鋼や前川が、軽やかな取り組みを支えていたことだ。スペースシアターは作曲家の武満徹が唱えた「音楽の空間化」のためのホールとして計画された。内部で繰り広げられたのは、電子音楽やレーザー光線を駆使した前衛的な試み。今では違う世界に存在するようなものが同じ場で交わっていた。大阪万博がそんな1回限りの輝きであることがよく分かる。(倉方俊輔/建築史家・大阪市立大学准教授)

このニュースの写真

  • むき出しのH形鋼が「重厚長大」時代を象徴 EXPO ’70パビリオン(鉄鋼館)

関連ニュース

【出前講義@関学大】「万博ママ・マルシェ」産経新聞の事業を見学

「産経WEST」のランキング