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【都市を生きる建築(75)】むき出しのH形鋼が「重厚長大」時代を象徴 EXPO ’70パビリオン(鉄鋼館)

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【都市を生きる建築(75)】
むき出しのH形鋼が「重厚長大」時代を象徴 EXPO ’70パビリオン(鉄鋼館)

耐候性鋼の素材感が印象的な外観。風雨にさらされることで保護性のさびが生じ、強度を保つ(西岡潔撮影) 耐候性鋼の素材感が印象的な外観。風雨にさらされることで保護性のさびが生じ、強度を保つ(西岡潔撮影)

 アジア初の国際博覧会として1970(昭和45)年に大阪で開催された日本万国博覧会。半年間の会期中に約6421万人が来場し、この記録は2010(平成22)年の上海万博まで破られることがなかった。豊富な展示資料で当時の様子を再現しているのが、万博記念公園内にある「EXPO ’70パビリオン」。テーマ館の太陽の塔とともに、同じ場所に残る数少ない出展施設だ。

 これを建築として体験すれば、1970年という時代にさらに近づける。会期中の名称は「鉄鋼館」。正面から見ると、むき出しのH形鋼の柱が太い梁(はり)を支持している。建物の内外をガラスで軽快に仕切るだけで済むのも、その強さがあってのこと。鉄鋼業界の全国組織である日本鉄鋼連盟が出展したパビリオンらしく、初めに目に飛び込んでくるのは鉄の存在感だ。

 けれど、足を進めるにつれて、鉄があまり目立たなくなってくる。パビリオンは「スペースシアター」と呼ばれた世界初立体音楽堂の円形劇場である。ホールを構成するのは打ち放しコンクリートで、その荒々しい表情が印象的だ。

 設計したのは前川國男という建築家である。今年、東京・上野の国立西洋美術館を含むル・コルビュジエの世界各地の設計作品が、一括して世界文化遺産に登録された。前川は戦前にパリに留学し、この20世紀を代表する建築家から直接に学んだ。帰国して戦後を代表する建築家の一人となり、東京文化会館(1961年)や熊本県立美術館(1977年)など多くの作品を設計した。

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