産経WEST

【神武・海道東征 第12部】偉業を支えた脇役たち(2)御毛沼命(みけぬのみこと) 故郷に帰り 地方を守った兄

産経WEST 産経WEST

記事詳細

更新

【神武・海道東征 第12部】
偉業を支えた脇役たち(2)御毛沼命(みけぬのみこと) 故郷に帰り 地方を守った兄

鬼八を踏みつけて封じる三毛入野命の神像。高千穂神社の本殿に刻まれている =宮崎県高千穂町(恵守乾撮影) 鬼八を踏みつけて封じる三毛入野命の神像。高千穂神社の本殿に刻まれている =宮崎県高千穂町(恵守乾撮影)

 〈御毛沼命(みけぬのみこと)は、浪の穂を跳(ふ)み、常世国(とこよのくに)に渡り坐(ま)し〉

 カムヤマトイハレビコノミコト(神武天皇)の3人の兄のうち、すぐ上の御毛沼命について、古事記はこう書く。海の彼方にある異界に行ったというのである。日本書紀は、それはイハレビコ一行が熊野灘で暴風に襲われた時だとして、御毛沼命(書紀では三毛入野命(みけいりのみこと))の言葉を書いている。

 「我が母と姨(をば)とは、並びに是海神(これわたつみ)なり。何為(いかに)ぞ波瀾(なみ)を起てて灌溺(おぼほ)れしむる」

 自分の母と伯母は海神なのに、どうして海は荒れて溺れさせるのか、という嘆きの言葉である。長兄の五瀬命(いつせのみこと)をはじめとする3人の兄は熊野上陸前、落命するか異界に去り、その後の大和平定はイハレビコだけで行われたとする点で、記紀の記述は共通している。

     ◇

 宮崎県高千穂町の高千穂神社。宮崎県最北部で、天孫降臨の地ともいわれる二上山と●触峯(くしふるのみね)に近い同神社は、常世国に渡った御毛沼命(社伝では三毛入野命)が日向に帰り、曽祖父から父までの日向三代を祭ったことを起源とする神社である。御毛沼命も妻と8人の御子と共に、十社大明神として祭神になっている。(●=木へんに患)

 「東征に就いた4人の兄弟には、意志に濃淡があったのではないでしょうか。海神の子なのに暴風に苦しみ、船も壊れた。これは死んだも同然だと考えて故郷に帰った。人間的な弱さも感じさせるのがご祭神だと思います」

 後藤俊彦宮司はそう話すが、御毛沼命には英雄譚(たん)も残る。地元に残る鬼八伝承である。

続きを読む

このニュースの写真

  • 偉業を支えた脇役たち(2)御毛沼命(みけぬのみこと) 故郷に帰り 地方を守った兄

関連ニュース

【神武・海道東征 第12部】偉業を支えた脇役たち(3)布都御魂(ふつのみたま) 危機救った刀 生命を預かる神

「産経WEST」のランキング