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【都市を生きる建築(74)】“眠り”から覚めた「新しい近代建築」丼池繊維会館

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【都市を生きる建築(74)】
“眠り”から覚めた「新しい近代建築」丼池繊維会館

丼池筋と久太郎町通の交差点に面する外観。1階では以前からのテナントが営業を続けている。外壁の窓は全て木製サッシに入れ替えた(西岡潔撮影) 丼池筋と久太郎町通の交差点に面する外観。1階では以前からのテナントが営業を続けている。外壁の窓は全て木製サッシに入れ替えた(西岡潔撮影)

 ここに近代建築があることは、ほとんど知られていなかった。なぜなら外観が金属のスパンドレルという建材ですっぽりと覆われ、どこにでもある平凡なビルにしか見えなかったからだ。今回のリノベーションで外装の金属材を取り外し、白いタイルと簡略化された装飾がモダンな元の外観を甦らせた。外装を固定していた下地の跡がそこここに残り、邪魔になった装飾が削り取られたりしているが、敢えて復元するようなことはせず、このビルの歴史として残すようにした。内部も付け加えられた間仕切壁や天井は撤去し、この建築の素の状態が引き立つような改修を行っている。

 このプロジェクトは、単なる近代建築の再生にとどまらず、丼池筋のエリア一帯を活性化することを目指している。ビルの3階には世界で活躍するデザイナーがオフィスを構え、2階はショップやギャラリーとして活用、屋上のペントハウスにはキッチンを設け、屋上を使ったイベントやパーティーに対応できるようにした。今後、丼池繊維会館が新しい文化の発信拠点となり、丼池筋にクリエイティブな動きが生まれていくことだろう。そしてこのような「眠れる近代建築」は、実は周辺にまだいくつか残っている。今回のリノベーションをきっかけに、まだまだ大阪に新しい近代建築が誕生するかもしれない。(高岡伸一/建築家・大阪市立大学特任講師)

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