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【都市を生きる建築(73)】18坪に真価を発揮した世界的建築家の「空間ドラマ」日本橋の家

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【都市を生きる建築(73)】
18坪に真価を発揮した世界的建築家の「空間ドラマ」日本橋の家

商業施設や住宅が入り交じった大阪ミナミの繁華街に建つ(西岡潔撮影) 商業施設や住宅が入り交じった大阪ミナミの繁華街に建つ(西岡潔撮影)

 2階にダイニングルームやキッチン、風呂やトイレが納まっている。3階と4階の寝室など計4部屋は、それぞれ中庭を挟んで独立しており、いったん外に出ないと行き来できない。ただし、中庭に可動式の屋根が設けられていて、雨の日も安心。内部のように使うこともできる。

 もう1つのダイナミックな空間が、2階から4階までの道路沿いに用意されている。吹き抜けのリビングルームだ。スリガラスににじむ外光が、上下に長い打ち放しコンクリート壁の表情を変化させる。中庭と同じく、ここでも都市の真ん中で暮らすことと、自然の中で生きている感覚が両立している。

 訪問を終えると、こんな小さな住宅の中で、あれほど豊富な経験を得たのかと魔法にかけられた気になる。このように一見、冷たい素材と構成の中に、熱い空間のドラマを折り込める才能が、安藤氏を大阪から世界に送り出したのだろう。

 かつて建築家に惚れ込んで設計を依頼したオーナーは、今は別の場所に住みながら、もっと多くの方に真価を味わってもらおうと近年、よりオリジナリティーを高める形での改修工事を安藤忠雄建築研究所に託した。人を魅了する能力も人一倍なのである。(倉方俊輔/建築史家・大阪市立大学准教授)

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