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【都市を生きる建築(73)】18坪に真価を発揮した世界的建築家の「空間ドラマ」日本橋の家

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【都市を生きる建築(73)】
18坪に真価を発揮した世界的建築家の「空間ドラマ」日本橋の家

商業施設や住宅が入り交じった大阪ミナミの繁華街に建つ(西岡潔撮影) 商業施設や住宅が入り交じった大阪ミナミの繁華街に建つ(西岡潔撮影)

 大阪に事務所を構えながら、今や日本のみならず、世界中でビッグプロジェクトを手がける安藤忠雄氏。1994(平成6)年に完成した「日本橋の家」は18坪に満たない狭い敷地の中で、その真価が発揮された作品だ。

 約15メートルの奥行きに対して、間口はたったの2.9メートル。普通の発想であれば、豊かな空間など望めそうもない。しかも、階段をわざと長手方向に置いて、細長さを一層強めている。敷地いっぱいに建つ鉄筋コンクリートの箱を、まっすぐに延びる階段が貫いた構成。大胆で幾何学的な形が、いかにも安藤氏らしい。

 4階建てのすべての壁が、きめ細やかな打ち放しコンクリートで仕上げられている。現代的であり、日本的な建築家だというイメージを決定づけた手法だ。構造を支える鉄筋コンクリートの壁に何も貼らず、そのままを仕上げとして見せることは以前から行われていた。それに対して、ゴツゴツした荒さを魅力として捉えるのではなく、その表面を丁寧に作りこむことによって、伝統建築の柱や障子に通じるような清潔感と工芸的な性格を素材に与えたのである。

 1階のギャラリースペースは、そんなトレードマークといえる素材に触れられるものとなっている。脇の階段から2階から4階の居住部分に上がるのだが、意外なのは閉じ込められた感じがしないこと。3階部分に中庭が取られていて、そこからの光が階段に降り注ぐからだ。

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