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【五輪重量挙げ】限界の体を震わせ、逆転銅のジャーク 三宅、バーベルにほおずり「ありがとう」

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【五輪重量挙げ】
限界の体を震わせ、逆転銅のジャーク 三宅、バーベルにほおずり「ありがとう」

重量挙げ女子48キロ級で銅メダルが決まり、バーベルにほおずりして感謝する三宅宏実=6日(桐山弘太撮影) 重量挙げ女子48キロ級で銅メダルが決まり、バーベルにほおずりして感謝する三宅宏実=6日(桐山弘太撮影)

 腰痛で限界にまで追い込まれた肉体を震わせながらバーベルを挙げ、苦しみを笑顔に変えた。前半8位から、後半の逆転で銅メダルを勝ち取った三宅宏実。2大会連続表彰台の快挙に「正直ダメかなと思ったけど、最後に表彰台に乗ることができた。今回は本当に一番うれしい」。万感の思いがあふれた。

 前半スナッチの81キロで2度失敗し、失格の危機に「私の夏は終わったと思った」。運命の3回目は、尻が床に着くぐらいに沈んだ。静まる会場で「無心でトライした。あれは奇跡」。ゆっくりと体を伸ばした。

 後半は得意のジャーク。最終3回目で3位にすべり込む107キロを挙げると「やったー」と叫んだ。舞台裏に下がりかけてから、バーベルのもとへ戻り、重りをなでてほおずり。「16年間ずっと一緒だったパートナー。ありがとうと言いたかった」と笑った。

 30歳で臨んだ4度目の五輪は満身創痍(まんしんそうい)だった。銅メダルを獲得した昨年11月の世界選手権以降、ハイペースで練習。このオーバーワークが故障を招いた。今年4月に腰のヘルニアを発症し、左ひざも故障。座って起き上がると激痛が走り、日常生活もままならない。「大事な時の前に何やってんだろう」。どん底に突き落とされた。

 心身を支えたのは、中学3年でバーベルを握って以来二人三脚で歩んできた父の義行さん。体の状態やメニューを綿密に話し合い、再起を懸けた。かたくなに避けてきた痛み止めの注射も打った。メダルの歓喜に浸る中で、義行さんは「頑張った結果だよ」とねぎらい、父娘は珍しく一緒に写真を撮り、感謝を伝え合う握手を重ねた。

 4年後、東京に五輪がやってくる。その時は34歳。「五輪はすばらしい大会で、また出たい気持ちはある」としながら「4年間は長い。日本に帰ってゆっくり考えたい」。そんな思いを持てるのも、リオ五輪を決してあきらめなかったからだ。(吉原知也)

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