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【マネーぷらす】相続税制改正で増える賃貸住宅

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【マネーぷらす】
相続税制改正で増える賃貸住宅

 金融機関の不動産事業向けの貸出が増えています。なかでも、金融機関から資金を借りて貸家を建築する個人向けの貸出が増えています。

 統計によれば、国内銀行の個人事業主向けの不動産貸出残高は平成27年第3四半期に3期連続で増加し、21兆円近くになりました。

 このようにアパートやマンションを経営する個人向けの貸出が増えた背景には、相続税制が改正されて昨年1月から基礎控除が従来の6割に圧縮されたため、自宅に賃貸物件などを併設して土地の評価額引き下げを図ろうとした事例が増えたことがあると考えられます。

 金融機関にとっても、優良な新規貸出先の発見が困難な中、不動産事業は比較的安全な貸出先と考えられているため増加につながったと思われます。

 実際、統計で貸家の建築数をみると、昨年1~11月の間に全国で建築着工戸数は前年比4%以上も増えています。

 しかし、このように節税目的で貸家が急激に増えると、賃貸住宅の需給バランスが変化するため、家賃を値下げしないと入居者が入らなくなる、もしくは空室のままになるなど、当初想定よりも厳しい状況になることが予想されます。

 例えば、首都圏の中古ワンルームマンションでみると、投資表面利回りは26年から低下し始め、27年3月には7%を下回るようになりました。

 そのため今後、不動産経営を考えている人は、周囲の競合物件の状況や人口動態などを踏まえて、より慎重な検討が必要になると思われます。

 (日本総合研究所 上席主任研究員 藤田哲雄)

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