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【海道東征を紡ぐ 信時潔物語】(18)黎明期、初の合唱曲「春の弥生」…今こそ信時ルネサンス

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【海道東征を紡ぐ 信時潔物語】
(18)黎明期、初の合唱曲「春の弥生」…今こそ信時ルネサンス

 明治43年、東京音楽学校本科器楽部を卒業した信時潔(のぶとききよし)は、研究科器楽部に進んだ。本科時代から作曲を始め、すでに短いながらドラマチックなピアノ曲を残しているが、研究科ではいわゆる「お雇い外国人」であった教師らから、より専門的な指導を受けた。

 作曲を始めたころは、学生のコーラス用に日本語の歌が求められたといい、44年には初めての合唱曲「春の弥生」を作曲している。雅楽の「越天楽(えてんらく)」に歌詞をつけて歌われた「越天楽今様」に題材をとった。

 代表作である「海ゆかば」や「海道東征」も含め、生涯を通じて声楽作品を多く残した。日本の古典や中国の古い漢詩を歌詞にすることも多く、独唱曲に「小倉百人一首より」や「帰去来の辞」(陶淵明作詩)などがある。

 信時は《作曲者は常に自分に手頃な歌詞を求めている。詩として優れているばかりでなく、それが音楽にのってその情感を新たに豊かに盛りあげ得るような、ほどよい長さの詩を求めている》(雑誌「心」昭和39年1月号)と、詩を慎重に選んだ。

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