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【海道東征を紡ぐ 信時潔物語】(22)「北原先生の詩に力得て」…歌詞と結合、豊かで壮大な音楽

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【海道東征を紡ぐ 信時潔物語】
(22)「北原先生の詩に力得て」…歌詞と結合、豊かで壮大な音楽

信時潔が寄稿した同人雑誌「心」(平凡社)。35年11月号には「日本音楽界の現状とその将来についての随筆的考察」と題するエッセーが寄せられている

 〈神坐(かみま)しき、蒼空(あおぞら)と共に高く、み身坐(みま)しき、皇祖(すめらみおや)〉

 のっけから、重厚かつ壮大な雰囲気で聴衆を神話の世界へといざなう。交声曲「海道東征」の第1章「高千穂」の冒頭部分だ。作詩は詩人、北原白秋。すでに晩年で、目を患いながらも渾身(こんしん)の力を振り絞って書き上げた。

 それを受け取った信時潔(のぶとききよし)は「北原先生の詩の見事さに力を得て曲の大骨の見当がついた」と賞賛する。加えて「歌詞がかなり難しく、古事記や万葉の古語も頻出するので音楽も形や気持の上でそれにふさはしい作り方をせねばならぬと思つた」と書いている。(「音楽倶楽部」昭和16=1941=年3月号「海道東征」の作曲についてから)

 北原の詩に触発された様子が見て取れるが、ことほどさように「詩」という存在は、信時の音楽にとって重要なものだった。元外交官で後に牧師に転じた父・吉岡弘毅は若い頃から漢詩に優れていたというから、信時の詩に対する豊かな感性は父親譲りだったのかもしれない。気に入った詩や漢詩があれば書いて残しておき、ときには自由に音楽をつけてみる…ということも日常的にあったようだ。

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