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【海道東征を紡ぐ 信時潔物語】(10)若き芸術家に影響与えた船場、千日前、中之島…“原風景”

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【海道東征を紡ぐ 信時潔物語】
(10)若き芸術家に影響与えた船場、千日前、中之島…“原風景”

 大阪を代表する画家、小出楢重(1887~1931年)が旧制市岡中学卒業まで暮らした大阪の「島之内」は、船場に並ぶ問屋街であり、芝居小屋や茶屋町が目と鼻の先にある生粋の“大阪らしさ”を体現する町だった。小出は父に連れられ、ときに芝居に、ときに妾(めかけ)の家にと連れて行かれ、芝居や文楽の素養を深めていった。

 小出はさらに、千日前の見世物(みせもの)見物も好んだ。

 「もっともエロチックにして毒々しき教育のモティフは、千日前を散歩すると転がっていた。私の家が千日前に近い関係上、ひまさえあると誰かに連れられて私はこの修羅場を歩きまわった」と、随筆「下手もの漫談」に記すように、小出が感じた千日前の見世物小屋のグロテスクさやエロチックさは絵画作品のなかに投影されていく。小出は両親からだけではなく、生まれ育った町の空気にも育てられたのだ。

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