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【番頭の時代】第5部・関西から攻める(4)“よそ者”の力呼び込む「農業特区」で過疎地の再生を…兵庫・養父市の三野昌二副市長

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【番頭の時代】
第5部・関西から攻める(4)“よそ者”の力呼び込む「農業特区」で過疎地の再生を…兵庫・養父市の三野昌二副市長

 「食」をテーマにイタリア・ミラノで開かれた国際博覧会(ミラノ万博)。7月に催された日本食のPRイベントで兵庫県北部の養父(やぶ)市産の「朝倉山椒(さんしょう)」が出品されると、たちまち人だかりができた。独特のピリピリ感に加え、フルーティーでまろやかな風味が特徴で、世界の料理関係者から「これこそ求めていた香辛料だ」との声が上がった。

 会場には「魔法のスパイス」と英語でアピールした名刺を手に、立て続けに商談に臨む一人の男。徳川家康に薬として献上された由緒がありながら、農家の庭先にわずかに植えられるだけだった朝倉山椒を「地域に眠る宝」と着目し、戦略商品として海外展開を主導した市副市長の三野昌二(みの・しょうじ)(59)だ。

  ◇  ◇  ◇

 三野は、「中山間農業改革特区」の位置付けで政府の国家戦略特区に昨春指定された養父市の番頭だ。経営コンサルタントとして市内の道の駅の運営にアドバイスしていたところ、長崎県佐世保市の大型テーマパーク、ハウステンボスの再生事業などを手掛けた経歴を見込まれ、市長の広瀬栄(68)に招かれた。耕作放棄地が拡大し続ける過疎の市で農業を再生する挑戦に、企業の経営ノウハウを持ち込む。

 市議会の承認を経て平成25年2月、副市長に就任した。以降、広瀬から「行政のことは私がやる。地域と農業の再生の先頭に立ってほしい」と指示を受け、攻めの農業を実現するため東奔西走する日々が続く。

 3カ月後、特区事業などを推進する市の100%出資会社「やぶパートナーズ」が設立されると、社長を兼任して矢継ぎ早に農業再生への取り組みを仕掛けた。

 課題は耕作放棄地の拡大に歯止めをかけることだ。農機が使いにくく耕作に手間がかかる棚田は特に守る必要があるため、収穫されるコメを相場より高めの価格で買い取り「別宮棚田米」のブランドで売り出した。市の補助金で棚田を保全するのではなく、収益をあげる仕組みを作った。

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